ロシアW杯アジア最終予選初戦、UAE戦でまさかの逆転負けを喫し、本大会出場に向けて早くも黄信号が灯ってしまった日本代表。そんな今、とりわけ奮起してもらいたいのが、香川真司(ドルトムント)だ。
クラブレベルでは2010年の海外移籍後、ドルトムントの攻撃の中心としてブンデスリーガ制覇に貢献。続くマンチェスター・ユナイテッド所属時代は出場機会に恵まれなかったものの、14年にドルトムントへ復帰してからは再び輝きを取り戻し、昨季はリーグ公式サイトによるベストイレブンにも選出された。
そんな日本の至宝が、不思議なことに代表チームの試合に限っては、実力に見合う輝きをこれまでほとんど見せられていないのだ。
国際Aマッチに通算82試合出場し、27得点。決して少ないゴール数ではないが、強豪相手の勝利に貢献したといえるパフォーマンスは少ない。誰もが認める高いポテンシャルを持っているというのに、なぜ香川は所属クラブと代表とで、別人のようになってしまうのか?
サッカージャーナリストの後藤健生氏は言う。
「ドイツでは香川のように俊敏で技術のある選手が貴重なので、周囲の屈強な選手が体を張ってボールを奪い、彼に預ける戦い方が確立されています。しかし、日本代表では“香川的”な選手が多く、逆に彼のためにファイトしてくれる汚れ役がいない。だから、いい状態で香川がボールをもらえないのです」
クラブと日本代表における香川の周囲の選手を比較すれば、実は体の強さだけでなく質の高さも違うと、サッカージャーナリストの西部謙司氏は指摘する。
「ドルトムントの選手は、センターバックやボランチも含めてボールコントロールが巧みなので、香川が視野に入っている状態を常につくれているし、キックも正確。だから、彼にパスが入る回数が代表戦より多いのは当然なのです」
香川自身の体調面も問題か
次に考えられるのは、香川自身の体調面だ。
「9月の最終予選2連戦に関しては、彼の体調が悪すぎました。ブンデスリーガ開幕直後でまだフィットネスが仕上がり切っていないのに、欧州から長距離移動し、蒸し暑い日本でプレーしたわけですから。
それは本田圭佑(ACミラン)らも同様なのですが、あまり動かずボールをしっかり受け止めるタイプの本田と違い、香川は狭いスペースに走り込み、小回りを利かせてボールを受けるスタイル。瞬発力や機敏さをより必要とされるので、体調の影響を受けやすい。
ただ、欧州のシーズン真っ最中で行なわれた代表戦でもあまり結果を残していないことを考えれば、彼は長距離移動や気候の変化の影響を受けやすい体質なのかもしれません」(後藤氏)
周囲の環境だけでなく、自身の体質も日本代表で今いち爆発できない理由になってしまっている様子。しかし、それでも香川ナシの日本代表は考えられない。
そこで『週刊プレイボーイ』42号では、W杯本大会出場の命運を握る「なぜ香川は日本代表で活躍できないのか問題」を検証。最終予選直前の今、ぜひご覧いただきたい。
■週刊プレイボーイ42号「なぜ香川真司は日本代表でパッとしないのか!!」より