「二刀流論争」に圧倒的な結果を残すことで完全にケリをつけた今年の大谷

プロ入り当初は疑問の声も多かった「二刀流論争」に圧倒的な結果を残すことで完全にケリをつけた今年の大谷翔平(北海道日ハム)。

プロ4年目にして投打とも完全にチームの中心となった希代の怪物は、CSや日本シリーズを勝ち抜いて“マンガを超えたヒーロー”になれるだろうか?

「結論から言えば、大谷が活躍すれば日本ハムはCS突破、あるいは日本一。逆に、活躍できなければ苦戦。そうなるでしょう、やっぱり」

現役時代にロッテの捕手として2度の日本一を経験した野球評論家の里崎智也氏は、迷わずそう言い切る。

今年、特筆すべきなのは、先発しながら打線にも入った「二刀流試合」に7戦全勝したこと。当初「早くどちらかを選べ」といわれた投打の二刀流も、もうケチをつける者はいない。成績的にも、内容的にも、今年の大谷翔平は投げては最速164キロを誇るエース、打っては主に3番を任される主砲として、チームを入団以来初の優勝に導いたのだ。

日本で一番野球がうまいヤツらが集うプロの世界で、エースで主砲で日本一。マンガでも恥ずかしくて描けないようなヒーローの誕生劇は実現するのだろうか?

まずは投手・大谷について。CS、そして(まだ気が早いが)日本シリーズでの課題を、かつて横浜(現DeNA)のエースとして活躍した野村弘樹氏はこう分析する。

「大谷の数少ない課題は立ち高く、手足の長い投手にありがちですが、その日ごとの微妙なフォームのバランスをつかめるのは2回か3回になってから、ということが多い。相手とすれば、そこまでがチャンスといえます」

すごい投手だが、つけ込みどころはある

シーズン中、大谷と何度も対戦してきたパ・リーグ某球団のスコアラーもこう語る。

「大谷の球種配分は60%近くがストレートで、約20%がフォーク、残りがスライダー、カーブ、チェンジアップなど。平均でも155キロ以上、試合によってはバンバン160キロを超えてくるストレートを主体に攻めるオーソドックスなものです。

ただ、初回から160キロ超えを連発することも多い一方、序盤はそのストレートが抜けてボール球になるケースが目立つ。逆に言えば、そこをしのげば、もう試合は大谷のペースです」

ちなみに球種別の被打率は、ストレートが1割9分5厘、変化球が2割2分2厘。いずれも低いとはいえ、やはりストレートのボール球を見極めつつ、変化球を狙い打つのがポイントか。

「大谷にはまだ精密な制球力はなく、楽天時代の田中将大(現ヤンキース)のように、必要なときにいつでもストライクが取れる域には達していない。すごい投手であることは間違いありませんが、つけ込みどころはある、というところです」(野村氏)

発売中の『週刊プレイボーイ』43号では、打者としての大谷も検証。「ヒットならOKと割り切らないと抑えられない」と言われるほどの実力を検証しているので、是非お読みいただきたい。

(写真/小池義弘)

■『週刊プレイボーイ』43号「大谷翔平『エースで主砲で日本一』投打の勝負ポイントはココだ!!」より