CSは浦和、川崎、鹿島の3チームによって争われると語るセルジオ越後氏

W杯最終予選の真っただ中だけど、Jリーグもいよいよシーズン終盤。2ndステージ残り3試合と、年間王者を決めるチャンピオンシップ(CS)を残すのみだ。

現在、2ndステージの首位は浦和。2位神戸との勝ち点差は5もある。しかも、残り3試合の相手は、残留争い中の新潟、これまで2ndステージでわずか1勝の磐田、そして中位の横浜Fマと比較的恵まれている。優勝はほぼ決まりといっていい。

その浦和の強みは選手層の厚さ。リオ五輪で興梠、遠藤が抜けても、梅崎が大ケガで離脱しても、それまで出番の限られていた高木、那須といった選手たちがしっかりと穴を埋めた。興梠、武藤、李の3人が2桁得点を挙げ、ここにきてズラタン、高木も立て続けに得点を決めるなど攻撃のバリエーションも豊富。ポジティブな要素が多く、上り調子でシーズン終盤を迎えている。

対照的に調子を落としているのは、現在2ndステージ3位の川崎。1stステージ2位、年間勝ち点でも現在2位と、優勝を狙える力があるのは間違いない。また、守備的な手堅いサッカーをするチームが多いJリーグにあって、積極的な攻撃サッカーは見ていて面白い。

ただ、ここにきて選手層の薄さと経験のなさという“2大不安”が露呈している。特にGKチョン・ソンリョンの負傷欠場は痛かったね。今季加入した現役韓国代表GKはどっしりとした存在感で守備に安定をもたらしていた。それが彼の欠場した直近2試合はともに3失点。流れが悪い。

川崎は1stステージも終盤に首位から転落したけど、ここ一番での勝負強さに欠ける。個人的にはそろそろ殻を破ってタイトルを獲ってほしいんだけど、残り3試合、広島、鹿島、G大阪という強敵との対戦が続くことを考えると、やはり厳しいかな。

残留争いは最終節までもつれ込む可能性が高い

CSはおそらく浦和、川崎と1stステージ王者・鹿島の3チームによって争われるだろう。鹿島も中東に移籍したカイオの穴を埋められていないし、現時点では誰が見ても浦和が最有力。浦和といえば、例年、最後に失速する印象があるかもしれないけど、さすがに今回は大丈夫じゃないかな。逆に言えば、今季も優勝できないなら、ペトロビッチ監督は“勝てない監督”ということ。更迭されても不思議はない。

一方、残留争いも、例年どおりに白熱している。生き残りをかけて、14位新潟、15位名古屋、16位甲府の3チームが勝ち点差2の中にひしめいている。それぞれに苦しい台所事情があり、正直、予想は難しいね。

残り3試合の対戦相手を見ると、浦和、G大阪、広島という上位チームとの対戦が続く新潟が不利という声も多い。でも、僕はそんなに単純ではないと思う。名誉なことではないけど、彼らは残留争いに慣れている。それは甲府も同じだ。

一方、闘莉王が復帰し、息を吹き返した名古屋にはそういうギリギリの戦いをした経験がない。だから、まだ油断はできないし、できれば最終節前にある程度の勝ち点差をつけておきたい。そのためにカギを握るのは次節の磐田戦。ここで勝ち点3を奪えれば、グッとラクになる。

いずれにしても残留争いは最終節までもつれ込む可能性が高い。しかも、3チームともいずれもホームでの試合だ。そこで天国を見るか、地獄を見るか。優勝争いと残留争い、どちらも最後の最後まで目が離せないよ。

(構成/渡辺達也)