6階級制覇の実績を持つマニー・パッキャオ(フィリピン)が11月5日(日本時間11月6日)、米国ネバダ州ラスベガスで、ジェシー・バルガス(アメリカ)の持つWBO世界ウェルター級王座に挑戦する。
今年4月の試合を最後に一度は引退したパッキャオは、わずか7ヵ月で現役復帰することになった。
昨年5月に行なわれた5階級制覇、47戦無敗のフロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ)との試合は「世紀の一戦」として注目され、リングサイド席には約700万円もの値がついた。約1万6500枚のチケットは、発売開始後わずか15分で完売。その幸運をつかんだ観客たちが熱戦に酔いしれた。
結果は判定で敗れたものの、約144億円とも伝えられた報酬を獲得。今年4月の再起戦後に引退すると、1ヵ月後にはフィリピンの上院議員選挙に出馬して当選した。リング内外で話題に事欠かないパッキャオだが、今度は戦線復帰によってさらなる注目を集めている。
年齢を2歳上に偽って16歳でプロデビューしてから21年。66戦58勝(38KO)6敗2分けの戦績を残してきたフィリピンの英雄も、今年12月には38歳になる。今回の復帰に関してパッキャオは「ボクシングは私のパッション(情熱)であり仕事。政治家としてだけでなく、ボクサーとしてもフィリピンの人々の役に立てることを証明したい」と話している。
復帰戦が決まった際、パッキャオは「早朝にロードワークとジムワークをこなし、議員活動には支障が出ないようにする」とフィリピン国民に約束。試合もプロモーターに希望を伝え、議会が閉会した11月に組んでもらったという経緯がある。6年前から下院議員との“二足のわらじ”を履いてきた経験があり、公私の線引きには慣れているようだ。来年も2試合を計画しているだけに、絶対に負けられない一戦といえる。
経験値で勝るパッキャオ有利は不動
主役はパッキャオだが、今回は挑戦者という立場で試合に臨むことになる。迎え撃つバルガスは28戦27勝(10KO)1敗の戦績を残している27歳。「RUTHLESS(無慈悲)」というニックネームを持つ、身長178cm、リーチ180cmの大型ボクサーで、体格ではパッキャオ(身長166cm、リーチ170cm)を大きく上回る。左ジャブを突いて右ストレートにつなげる正攻法の選手で、右のタイミングと破壊力には定評がある。
WBOの王座を獲得した今年3月の試合では、2度のダウンを奪ってTKO勝ちを収め、評価を急上昇させた。百戦錬磨のスーパースターとの対戦にも「誰もが尊敬するパッキャオに勝って実力を証明する」と臆した様子はない。
経験値で大きく勝るパッキャオ有利は不動といえる。サウスポースタイルから鋭く踏み込んで左ストレートをバルガスのアゴに叩き込めることができれば、2009年以来11試合も遠ざかっていたKO勝ちも見えてくる。過去にバルガスと同じような体格のトップ選手3人に圧勝していることも心強い。試合に備えてバルガスに似た長身の選手とフィリピンでスパーリングを重ねており、調整は順調と伝えられる。
「戦う上院議員」がどんなリング・パフォーマンスを見せるのか、要注目だ。
(取材・文/原 功 写真/アフロ)
●WOWOWでは、マニー・パッキャオの復帰戦を11月6日(日)午前11時から生中継! 詳しくはこちら!>> ★生中継!エキサイトマッチスペシャル マニー・パッキャオ復帰戦 マニー・パッキャオvsジェシー・バルガス 【放送日】11月6日(日)午前11:00[WOWOWプライム] ※生中継 ゲスト:長谷川穂積