楽天が、FCバルセロナのメインスポンサーとなることが決まった

インターネットサービス大手の楽天が、スペインの名門クラブであるFCバルセロナ(バルサ)のメインスポンサーとなることが決まった。

来季からの4年契約で、年間5500万ユーロ(約64億5千万円)に加え、成績に応じたボーナスをクラブに支払うというもの。これはサッカー界において、史上第2位の巨額契約。その見返りとして、バルサのユニフォームの胸には「Rakuten」のロゴが躍ることになる。

これは日本企業による久々の快挙!と喜びたいところだが、まったく懸念がないわけではない。

というのも、昨今は中東系、中国系の企業やファンドが次々と欧州強豪クラブのメインスポンサーとなったり、クラブごと買収したりしている。今回の楽天も、現地で「またアジアの成り金が札束攻勢で…」と囁かれていたりはしないのだろうか?

だが、スペイン在住のサッカージャーナリスト、山本孔一氏はきっぱり否定する。

「その心配は無用です。伝統的に胸スポンサーをつけないことを誇りとしてきたバルサですが、クラブ財務の悪化により、2011-12シーズンからカタール財団を、そして13-14シーズン以降はカタール航空をスポンサーに迎え、初めてユニフォームの胸に商用ロゴが掲出されました。

胸スポンサーがついただけでもサポーターは面白くないのに、欧州人には印象のよくないイスラム系国家からの出資を仰いだとあって、不満を抱いている人は今も少なくありません。でも、楽天の場合は対照的に、現地では好意的に受け止められています」

断トツで好感度が高いのはなぜ?

一体、なぜ?

「まずスペインでは日本という国自体、文化や経済での長い交流がありますから、ほかのアジア諸国に比べ断トツで好感度が高い。しかも楽天は、なんの努力もせず湧き出る石油で儲けてきたわけではなく、まっとうなビジネスで成長してきた企業。その上、三木谷浩史会長はバルサの主力のひとりであるピケと以前から個人的交流があり、そこからスポンサー契約につながったので、いっそう親近感を持たれています。

ちなみに今回の契約締結前、中国のIT大手のアリババや、中東系の企業が、楽天以上の額でバルサにオファーを出していました。ですが、バルサは信頼できる企業として、そしてサポーターにも認められるパートナーとして、楽天を選んだのです。

カタール航空時代より1.5倍超の年間スポンサー料を払ってくれる楽天は、地元のファンやメディアから、最近移籍が取り沙汰されているメッシをバルサに引き留めてくれる救世主だと目されてもいます」(山本氏)

日本人としては、ちょっと誇らしくなる裏話。

しかし、だ。バルサ側にとって楽天が大歓迎のスポンサーなのはわかるとして、逆に楽天の側から考えてみると、この契約は本当にモトが取れる投資なのだろうか?

発売中の『週刊プレイボーイ』50号では、海外事業の縮小が続く楽天がバルサのスポンサーを継続していけるかどうか、サッカー界だけでなく、IT業界の専門家の意見も踏まえて検証。

すると、楽天のスポンサー契約により、日本のサッカー界にも意外な恩恵があることがわかった。是非、本誌で確かめていただきたい。

■週刊プレイボーイ50号「楽天のバルサ胸スポンサー契約はモトが取れるのか!?」より