いよいよ今季のJリーグもフィナーレだ。浦和と鹿島によるチャンピオンシップ(以下、CS)決勝第2戦(12月3日/第1戦は1-0で浦和が勝利)が行なわれる。
ただし、年間王者決定戦といっても、気分的にはいまいち盛り上がれない部分もある。いまさら言っても仕方ないんだけど、やっぱり年間を通して最も安定していたチーム、つまり年間勝ち点1位の浦和が王者として評価されるべきだと思ってしまうからだ。
せめて以前のような両ステージの優勝チーム同士によるCSならわかるんだけど、今の2ステージ制+最大5チームが参加するCSの仕組みはわかりにくいし、“納得感”に欠ける。
それは選手たちも感じているんじゃないかな。実際、浦和の選手たちは、2ndステージ優勝を決めても大して喜ばず、年間勝ち点1位を決めたときに初めて喜びを爆発させていた。
2ステージ制+CSが復活した昨季は年間勝ち点1位の広島がCSも制して丸く収まったけど、もし今年浦和が負けたら、モヤモヤが残るよね。だから、僕は浦和に勝ってほしいし、勝たないといけないと思う。
もうひとつ僕が不満なのは、2ndステージ最終節からCSまで間隔が空きすぎたこと。いくらW杯予選や天皇杯があったとはいえ、CS準決勝まで約3週間、CS決勝第1戦まで約4週間は長すぎ。その間、川崎(CS準決勝で鹿島に敗退)はエースである大久保のFC東京への移籍が決まり、今季限りで退任する風間監督も名古屋の監督就任が内定。もうシーズンオフに突入した感じで、ファンの関心もいったんそちらに向いてしまった。
浦和のカギを握る期待の選手は…
Jリーグはすでに、来シーズンから1ステージ制に戻すことを発表しているけど、それも当然。やっぱり2ステージ制には無理があった。アジアチャンピオンズリーグの決勝(第2戦)が26日に行なわれたんだけど、もし、CSに出場するチームが勝ち残っていたら、どうしていたのだろう。そんな可能性はないと考えて日程を組んでいたなら皮肉だ。
本来なら、もう年間勝ち点1位の浦和の優勝にして、この時期には地震で大きな被害を受けた熊本や鳥取を支援するためのチャリティマッチでもやったほうがよかった。
話をCS決勝に戻せば、短期決戦で何が起こるかわからないし、鹿島の下克上を期待する向きもあるけど、やっぱり浦和が有利だと思う。もともと選手層が厚い上に、今季はリオ五輪代表で主将を務めた遠藤が加わり、守備がさらに安定。攻撃陣も興梠(こうろき)、武藤、李がふたケタ得点を挙げ、高木や新加入の駒井もシーズン途中から持ち味を発揮した。毎年恒例だったシーズン終盤の“失速”を回避できた力は本物。選手たちも自信をつけていると思う。
そんな浦和の優勝のカギを握るのは柏木。層の厚いチームにあっても、試合をコントロールできる、代えのきかない存在だ。特に、攻撃面では柏木を中心にボールが回っている。また、今季の柏木は今まで以上にピッチ上でよく声を出してチームを仕切っている。結婚した影響もあるのか、精神的にたくましくなった印象だ。その柏木がどんなプレーを見せるか、鹿島がどうやって柏木を潰(つぶ)すかが最大の見どころ。
いずれにしても、スタジアムは満員で素晴らしい雰囲気になるはず。両チームの選手たちは見ている人をワクワクさせるようなプレーを見せて、シーズンを締めくくってほしいね。
(構成/渡辺達也)