ニッポンの心は歌心。歌といえばプロ野球選手。
2016年もフィナーレ。名盤、珍盤、棒読み、パクリ、音程外しにオレ流、富永一朗まで、古今東西、珠玉の野球選手ソングを厳選! 前編に続き、さぁ、はりきって歌いましょう!
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●最優秀お笑いマンガ道場賞
『ゴーゴーカープ』富永一朗
76年から94年まで18年間放送された名物番組『お笑いマンガ道場』でおなじみの富永一朗先生が75年に歌ったカープ応援ソング。マーチ調の勇ましさと、富永先生の意外な美声がなかなか聴かせる。
近頃、お姿を見る機会が減っていたが今年、25年ぶりのカープの優勝でお祝いコメントを発し、91歳の現在もお元気であることが確認されたのは何より、何より。
●最優秀ウォウォウォ賞 『地平を駈ける獅子を見た』松崎しげる
西武線沿線在住者なら何度も耳にした、というか耳にこびりついて離れない西武黄金時代を象徴する名曲。パルコや西友の優勝記念セールでもエンドレスで流れ続けていた。「アアア」とか「ウォウォウォ」とか、とにかくパンチのあるシゲルマツザキの声量は圧巻。
今回、改めて聴いてみて、現在のライオンズに足りないのは間違いなくこのパンチ力だと気づいた。おかわりクンや浅村栄斗は試合前にこの曲をエンドレスで聴くことをオススメしたい。作詞は阿久悠、作曲は小林亜星というゴールデンコンビ。
●中南米の売人にしか見えないで賞 『霜降り橋まで』江本孟紀
「野球選手レコードの雄」といっても過言ではないのが南海、阪神で活躍したエモヤンこと江本孟紀。水島新司の名作マンガをモチーフにした『あぶさん』、デュエットソング『恋する御堂筋』などレコードを多数リリース、いずれも巧みな歌唱力を披露している。透明感のある歌声で切ない女心を歌い上げたら球界広しといえども、この人の右に出る者はいないのでは。
そんなエモヤンレコードのなかでも、特にジャケットのインパクトにやられたのが『霜降り橋まで』。中南米あたりの売人にしか見えない風貌はジャケ買い必至の一枚だ。
歌手・板東英二の成長の過程も確認できる一曲
●最優秀洋楽賞(パクリ部門) 『ベースボール・ブギー』レオン・リー&レロン・リー
兄・レロンと弟・レオン。日本球史に残る強打の助っ人「リー兄弟」の一枚は、ジャケット、曲調とも「ブルースブラザーズ」のパクリ!?
もちろん全編英語で、リズム感あふれる一曲。「ブギ」ではなく「ブギー」と伸ばすところと、シャウトすべき箇所で恥ずかしそうに歌う自信のなさに注目。照れのある黒人兄弟もまた実に奥ゆかしい。
●最優秀ロングセラー賞 『燃えよドラゴンズ!!』板東英二
中日応援ソングの定番。巨人V9に終止符を打って中日が優勝した74年に初めて発売された。74年版は「一番髙木が塁に出て、二番谷木が送りバント」、82年版では「一番田尾が塁に出て、二番平野が送りバント」と、時代ごとに当時のオーダーを反映した歌詞になっている。
この応援ソングを、74年、82年、00年と3度もリリースしているのがOBでタレントの板東英二。74年版では譜面に忠実に歌い上げていたが、00年版では大御所歌手を思わせる堂に入った熱唱を見せている。歌手・板東英二の成長の過程も確認できる一曲。