「パチスロ キン肉マン」発表会にゲストとして登場した中井りん。雪の降る東京・秋葉原に、愛媛県今治市から日帰りで降臨

昨年末の「RIZIN」で強烈なインパクトを残した総合格闘家・中井りん(初代バンタム級クイーン・オブ・パンクラシスト)が2月9日、東京・秋葉原で行なわれた「パチスロ キン肉マン~夢の超人タッグ編~」発表会に出演した。

中井は愛媛県今治(いまばり)市を拠点にしているため、顔を合わせて取材する機会は限られている。イベントの合間に時間をもらい、本業の格闘技について、そしてマイブームの「幼虫」について語ってもらった。さらにその翌日に発表された衝撃の“活動休止”宣言の真意は!?

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―昨年末に行なった中井さんのインタビューはすごい反響で、週プレNEWSの人気記事ランキングで2週間くらいずっと1位だったんですよ!

中井 え~! それは驚きです!!

―グーグルで「中井」と入力すると入力補助で「中井りん」が最上位に出てきます。もはや中井貴一さんの地位も危ういですよ!

中井 いやいや(笑)。年末はおかげさまで大変な反響をいただいて、地元の今治のほうでも声をかけられることが多くなりました。

―12月29日の村田夏南子(かなこ)戦を振り返っていただきましょう。ものすごく低く構えていましたが、その理由は?

中井 あれはもう、タックル対策で、レスリングのような低い構えでした。

―低い構えだとパンチやヒザ蹴りをもらうリスクが高まりますよね?

中井 村田選手の打撃はそれほど強くないと思っていたので…。

―とにかくテイクダウンさえ取られなければ大丈夫だと?

中井 う~ん、下になったとしてもあらゆる局面に対応するようにはしています。いつもそうですけど、特に対戦相手への対策とかはあまりしないんです。自分はニュートラルに入れておいて、実戦で何が来ても対処できるように練習しています。

―あの構え以外は、いつも通りだったんですね。

中井 そうですね。でも、あそこまで極端に低く構えたのは自分でも初めてで、後から映像を見直したら、おかしかったです(笑)。

「30代のほうが若い選手より強いと思う」

RIZINで対戦した村田夏南子とは試合後、「なんか変な感じだったよ」と言葉を交わしたという

―ほぼ優勢に試合を進めて、最後はチョークで見事な一本勝ち。村田選手がすごく切ない目をして、ちょんちょんとタップしたのが印象的でした。中井さんと村田選手は同郷で、子供の頃から彼女の家族とも仲が良かったんですよね。

中井 試合が決まった時は少しやりにくいと思ったんですけど、決まってしまった以上は気にならないようになっていきました。試合の後、村田選手と挨拶した時に「闘えてよかったです」って言ってくれたので、「私もなんか、向かいあった時に変な感じだったよ」って言ったんですよ。

―いろんな感情が交じり合って複雑だった?

中井 はい、言葉ではうまく表現できないんですけど…。

―12月31日は会場で他の試合を見ていたとか。自分で試合をして、あるいは客観的に見て、RIZINというイベントにどんな感想を持ちました?

中井 ドカーンと火花が上がったり、演出面も素晴らしいですよね。会場で見ていても、入場セレモニーを自分で体験してもすごいなと思いました。

―中井さんのコスプレも、舞台が大きいほど際立ちますよね。計量の時は網タイツにTバック、手にはムチという大胆な衣装でした。

中井 これも想像以上の反響でした。私はとにかく派手なことをして、お客さんの気を引こうと思ってやったんですけど…アイマスクが外れちゃったりとか、うまく立ち振るまえなかったのが心残りです。

―格闘家のピークは30歳前後と言われます。今、30歳ですよね。今がピーク?

中井 全然そうは思いません。いろんな選手を見ていると、30代のほうが若い選手より強いと思うんですよね。総合格闘技はいろんな技術を身に付けていかないといけないので、経験を重ねているほうが強いんです。私は2006年にデビューして、今、折り返し地点。あと10年、現役を続けるつもりです。

―まだまだ中井さんの試合が観られるわけですね! ところで、最近のマイブームはありますか?

中井 マイブーム…幼虫です。

―幼虫!? そういえば昨年は、山でカブトムシを捕ってきて飼っていましたね。

中井 夏は成虫、冬は幼虫です。冬の山に入り、カブトムシの幼虫を掘り当てて持って帰ってきて、育ててます。すごくカワイイんです(微笑)。

昨年末に行なわれたRIZINの計量における、SMチックなド派手衣装も話題を呼んだ(提供:パンクラス坂本靖氏)

「唯一の楽しみがカブトムシなんです」

週プレを読んでキン肉マンを研究してきたという中井りん

―幼虫を見つけるポイントはあるんですか?

中井 あります。朽木の下とか。クワガタはその中にいるんですけど、カブトムシは土の中にいます。虫ケースに入れて育ててます。突いたりしてストレスを与えないように、虫ケースの下から見上げたりして愛(め)でています。6月か7月には成虫になりますよ、死んでなければ(笑)。…この話、面白いですか?

―面白いですよ(笑)。中井さんの別の一面も知りたいので。

中井 私は、ほとんど遊びらしい遊びはしないので。練習以外は休んでいますので、唯一の楽しみがカブトムシなんです。

―ストイックに生きてますねぇ。

中井 私からしたら普通なんですけど。あ、今日はキン肉マンのイベントということで、私は世代じゃないので詳しくありませんが、『プレイボーイ』を見て研究してきましたよ。ひとつ謎なんですけど、ラーメンマンとモンゴルマンは、どういう関係なんですか?

―ラーメンマンがマスクを被ると、モンゴルマンになるんですよ。

中井 そうなんだ! じゃあ同じ人なんですね。謎が解けてスッキリしました。女のコの超人がいないようですが、今後登場してきたら推しメンにしたいです。(作画担当の)中井(義則)先生の息子さん(中井光義)はパンクラスに出ていたので、そこも親近感を感じます。

―最後に、ファンにメッセージをお願いします!

中井 今、いろんなジャンルで女性の活躍が注目されています。私も女子格闘技をもっと盛り上げていきたいので、応援よろしくお願いします!

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このインタビューを行なった翌日、中井りんは自身のブログで体調不良を報告し、「活動を休止したいと想っています」と電撃発表。ファンから心配の声が挙がった。ブログの真意について所属ジムにメールで問い合わせたところ、次のような返事が返ってきた。

「休止するというのは引退するということではなく、しばらく休むという意味です。引退はしません。中井りんは、あと10年は現役選手を続けるつもりではいます」

格闘家として「折り返し地点」と本人が語った通り、十分に静養し、再びその雄姿が見られる時を我々は期待して待つしかない。

●中井りん(なかい・りん)1986年生まれ、愛媛県松山市出身。柔道をバックボーンに2006年、総合格闘技デビュー。初代バンタム級クイーン・オブ・パンクラシスト。初代VALKYRIE無差別級王者。22戦19勝2敗1分

(取材・文/中込勇気 撮影/榊 智朗)