今季の優勝候補は、やはり鹿島と浦和の“2強”だと語るセルジオ越後氏 今季の優勝候補は、やはり鹿島と浦和の“2強”だと語るセルジオ越後氏

Jリーグが開幕する。今オフの移籍市場では、大型の放映権料契約締結によってリーグからの賞金や分配金が増えることを予想してか、各クラブが例年以上に活発に動いた印象がある。

果たして、1ステージ制に戻った今季の優勝候補はどこか。やはり、僕は鹿島と浦和の“2強”を挙げたい。

鹿島は昨季、浦和とのチャンピオンシップ決勝を制し、クラブW杯で準優勝。天皇杯も制した。シーズン終盤に入り、伝統の勝負強さを見せつけた。

ただ、年間を通して見れば、夏場などなかなか勝てない時期もあり、決して“横綱相撲”じゃなかった。2ステージ制に救われた部分もあったよね。

でも、今オフの積極的な補強を見れば、Jリーグ連覇だけじゃなく、初のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇も目指そうという意気込みを感じる。Jリーグで実績のあるボランチのレオ・シルバ、ストライカーのペドロ・ジュニオール、ブラジル代表経験者であるMFレアンドロ、さらに韓国代表GKクォン・スンテを獲得。一気に選手層が厚くなった。

スペインに移籍した柴崎の穴を感じさせないどころか、彼が残留していてもスタメンで出られるかどうか微妙なくらい。石井監督のやりくり次第では、ACLとの過密日程も乗り切れるかもしれない。

一方、昨季年間勝ち点1位の浦和も例年どおりに多くの選手を獲得した。ただ、FWラファエル・シルバを除けば、即戦力の大物というよりは将来性に期待したい中堅、若手ばかり。鹿島に比べると小粒な印象だ。

そもそも前線には同じようなレベルの選手がたくさんいるけど、ペトロヴィッチ監督がうまく使いこなせるのかどうかにも疑問が残る。一方で、最も補強が必要だった最終ラインは手薄なまま。ケガ人が出たらどうするのだろう。

それでも個々の選手のレベルは高いし、6季目を迎えたペトロヴィッチ監督の目指すサッカーも浸透している。大きく崩れることはないと思う。

どこかマンネリ感がある浦和

ただ、逆に言えば、ここ数年、毎年のように優勝候補に挙げられながらも結局、勝ち切れないのは何かが足りないということ。その間、チームの中心選手の顔ぶれはあまり変わっていないし、仲良しクラブとまでは言わないけど、どこかマンネリ感がある。

そういう意味で、今季はチームに新たな刺激をもたらす選手が必要だと思う。僕は期待を込めてふたりの名前を挙げたい。まず、攻撃陣ではラファエル・シルバ。彼が“助っ人”らしく絶対的なストライカーとしてゴールを量産できるか。そして、守備陣では加入2年目の遠藤。昨年のリオ五輪代表の主将を務めるなど能力に疑いの余地はない。あとは先輩たちに遠慮せず、守備の中心、チームの中心としてのプレー、振る舞いを見せられるかだね。

鹿島と浦和の“2強”に続くのは、昨季年間勝ち点2位の川崎、昨季無冠からの巻き返しを狙うG大阪かな。大久保、永井ら代表クラスを大量補強したFC東京もハマれば面白そうだ。

例年はシーズン半ばを過ぎると、残留争いをしているチームが降格を回避するための補強に動いていた。でも、優勝賞金が大幅にアップした今季は、ぜひ上位チームにそうした動きを期待したい。

C大阪が清武を獲得したけど、優勝争いを繰り広げている上位チームが大物外国人や欧州で試合に出ていない日本人選手の獲得に動いたら、盛り上がるよね。

(構成/渡辺達也)