今季の齋藤のプレーには目を見張るものがあると語るセルジオ越後氏

W杯アジア最終予選のUAE、タイとの2連戦が迫ってきた。特に、昨年9月に逆転負けを喫したUAEとの対戦は、絶対に負けられない大一番。アウェーとはいえ、勝ち点3を持って帰りたい。

注目は日本代表にどんなメンバーが招集されるか。やはり昨年11月のサウジアラビア戦のスタメンが中心になるだろう。ボランチから後ろのポジションは、長谷部、吉田、酒井宏、酒井高ら所属クラブで出場機会を確保している海外組が多い。どうしても攻撃的なポジションの選手ばかり注目されがちだけど、みんな頑張っているよね。

また、国内組も山口、永木、森重、槙野らがJリーグで元気だ。GKの西川も含めて、ハリルホジッチ監督が人選に悩む部分は少ないと思う。

一方で、やや不安なのが前線。勝つためには点を取らなければいけない。でも、いいときに比べて、少し勢いに欠ける選手が多いかなという印象だ。ワントップに大迫、両サイドには原口と新天地ベルギーで結果を出している久保を起用するのは順当として、悩むのはトップ下。故障明けでコンディションが気になるところだけど、僕はサウジ戦でスタメン出場した清武を推したい。あとは試合の流れによって、どんな試合でも泥くさく戦える岡崎、Jリーグで好調の齋藤、小林悠、長沢あたりを切り札として投入するイメージじゃないかな。

なかでも、今季の齋藤のプレーには目を見張るものがある。昨季も十分に活躍していたけど、(中村)俊輔が抜けた横浜F・マで新キャプテンとなり、ひと回り大きくなった。ドリブルで勝負するのか、パスを出すのか、プレーにメリハリがついたことで相手にとってはさらに厄介な選手になっている。味方にも大きな声で指示を出すし、貫禄が出てきた。こういう勢いのある選手は積極的に使うべきだ。

本田をメンバーから外すのは当然のこと

そんな齋藤とは対照的に心配なのが本田。年明け以降、所属するACミランで1分もプレーしていない(第27節終了時点)。どういう状態なのか、まるでわからない。たまに試合に出ていた昨年後半ですら、代表戦でコンディション不良を露呈していたことを考えれば、今回はメンバー外が妥当だ。

選手を5人、6人と交代できる親善試合ならともかく、交代枠が3人しかないW杯予選で、フタを開けてみなければ、しっかりプレーできるかどうかわからない選手を呼ぶのはギャンブル。ハリルホジッチ監督も昨年から「試合に出場できるチームに移籍しろ」と伝えていたそうだし、冬の移籍市場で動かなかった本田をメンバーから外すのは当然のことだと思う。

スタメンが無理ならベンチでという考えもあるけど、彼はベンチで先頭に立ってムードを盛り上げるタイプではないだろう。また、それ以上に心配なのがメディアによる“雑音”。今まで代表の中心として活躍してきた選手だけに、昨年のサウジ戦では本田がスタメンとして起用されるかどうかで大騒ぎになった。今回もメンバーに招集されれば、メディアの関心は本田の起用法に集中する。ハリルホジッチ監督、ほかの選手、そして何より本田自身にとって煩わしい状況になると思う。

言うまでもなく、代表とはその国のトップチーム。所属クラブでまったく試合に出ていない選手を呼ぶべき場所じゃない。もっとも、ハリルホジッチ監督が本田と心中するつもりなら話は別だけど、果たしてどうなるかな。

(構成/渡辺達也)