UAE戦で負けるようなことがあれば、W杯出場はかなり難しくなると語るセルジオ越後氏

アジアで同じ相手に3連敗するようならば、W杯での勝利など期待できないし、そもそもW杯に出場する資格もない。

2018年ロシアW杯アジア最終予選の後半戦がスタート。日本はアウェーでのUAE戦(23日)、ホームでのタイ戦(28日)を迎える。現在グループ最下位であるタイとの一戦は、力関係を考えれば負ける要素は見当たらない。順当に勝ち点3を奪うだろう。

問題はUAE戦だ。この試合は絶対に負けられない。現在グループ2位日本と4位UAEとの勝ち点差はわずか1。しかも日本は予選の最後に、オーストラリア戦(ホーム、8月31日)、サウジアラビア戦(アウェー、9月5日)と強豪相手の厳しい連戦を残している。同じくW杯出場を争うUAEに引導を渡すためにも、最後の2連戦を優位な立場で迎えるためにも、ここでキッチリ勝ち点3を奪っておきたい。逆に言えば、ここで負けるようなことがあれば、W杯出場はかなり難しくなる。

日本はUAEに対し、一昨年のアジア杯準々決勝で延長戦の末にPK戦で敗れ、昨年9月の最終予選初戦ではホームで逆転負けを喫し、連敗中だ。2試合とも、引いて守ってカウンターを狙う相手のサッカーにハマった。

今のUAEは、アリ監督が育成年代から手塩にかけて育ててきた選手が多く、国際経験も豊富で、国内では“史上最強”と呼ばれている。チームの中心は、一昨年のアジア年間最優秀選手であるFWハリルと、昨年のアジア年間最優秀選手であるMFオマル。ハリルは決定力の高いストライカーで、日本は昨年9月の対戦時に2得点を許している。ふわふわのヘアスタイルが印象的なオマルは、高いテクニックと独特のリズムで攻撃を組み立てる。このふたりは今回も要注意だ。

1990年イタリア大会以来となる2度目のW杯出場を目指すUAEにとっても、日本戦は勝ち点3を奪わなければいけない試合。国内リーグを早々と中断してコンディションを整えるなど、相当な意気込みがうかがえる。日本には2連勝中だけあって、選手たちは自信を持っているだろう。

日本は誰がエースとしてチームを引っ張るのかハッキリしない

一方、敵地に乗り込む日本は、率直に言ってあまりよい状態ではない。特に前線はコンディションに問題のある選手が多く、誰がエースとしてチームを引っ張るのかハッキリしない。海外組は所属クラブで出場機会に恵まれない選手が多いし、国内組はまだJリーグが開幕したばかり。フタを開けてみなければ、誰がどんなプレーをできるのかわからない。それにもかかわらず、練習試合をする時間もなく、ぶっつけ本番でアウェー戦に臨むというのも不安要素のひとつだね。

ただし、勢いは相手が上だけど、地力は日本が上。勝機は十分ある。また、アウェーといっても、イランなどほかの中東勢に比べれば、観客の応援はそれほど激しくない。必要以上にビビらなくていい。ある程度守備重視で、相手の焦りを誘ってカウンターを狙うという展開が理想だね。そして、先制点を奪えるか。ハリルホジッチ監督がどんなメンバーを先発で起用するかはわからないけど、こういう試合では技術や経験よりも、精神力と体力がモノをいうことが多い。試合に出る選手が90分間戦えるか。そこに尽きる。

いつもなら試合のカギを握る選手、期待したい選手の名前を挙げるところだけど、今回は誰でもいいからヒーローの出現に期待したいね。

(構成/渡辺達也)