ディフェンディングチャンピオンとしてシーズンに臨む平手選手。「LC500は弱点がない。連覇を狙えるクルマに仕上がってます!」と自信満々

2017年の「SUPER GT」は4月8日と9日、岡山国際サーキットで開幕戦が行なわれ、熱戦の火ぶたが切られる! 果たして、今シーズンをリードするのは、どのチームなのか?

■タイトル連覇に死角なし?

オフの間、レクサス(トヨタ)、ニッサン、ホンダの各陣営は国内外のサーキットでテストを行ない、ニューマシンの開発を進めてきた。テストの内容を見る限り、3陣営の中で最も仕上がりの良さを感じさせるのはトヨタだ。

トヨタは今シーズン、レクサス「RCF」に替わって、3月16日に発売されたばかりの「LC500」をベースにしたニューマシンを投入する。LC500はオフのテストではトラブルもほとんどなく、順調に周回を重ねている。タイム的にもライバルを頭ひとつ上回っている印象だ。

今シーズンのSUPER GTはレギュレーション変更によって、マシンのダウンフォース(マシンを下向きに押さえつける力)が昨年より約25%削減されている。その失ったダウンフォースをいかに取り戻すかが、開発の大きなポイントになっている。

昨年チャンピオンの平手晃平選手(LEXUS TEAM SARD)は、

「LC500はダウンフォースが削減されたとはまったく感じないぐらい、マシンは仕上がっています」

と自信を見せている。

「LC500は本当に速いし、乗っていて楽しいです。昨年型のRC Fはクーリング(マシンの冷却)に弱点があって、気温の高い夏場には本来の力を発揮できないこともありました。でも、LC500ではその弱点は解消されていて、暑くても寒くても速いんです。現時点での課題はタイヤとのマッチングを詰めることぐらいでしょうか。昨年の同じ時期に比べると、マシンの競争力は確実に高い。いつシーズンが開幕してもいいぐらいです」(平手選手)

ホンダとニッサンも負けていない!

昨年、ホンダ勢としては最上位のランキング11位に終わったKEIHIN REAL RACINGのふたり。「今年はホンダの存在感を示す!」と気合い十分だ

まさにタイトル連覇に死角なし! そんな雰囲気を感じさせるトヨタ勢だが、ホンダとニッサンの両陣営も負けていない。

特に、昨シーズン未勝利に終わったホンダ勢は、復活に並々ならぬ意欲を見せている。

「正直、昨年のSUPER GTで『ホンダはいたっけ?』という空気みたいな存在だったと思います。その悔しさをバネにして、僕たちドライバーとホンダのスタッフは力を合わせて2017年型の『NSX-GT』の開発に取り組んできました。今年は絶対に優勝し、チャンピオン争いに加わります!」

と宣言するのは、KEIHIN REAL RACINGの塚越広大(こうだい)選手だ。

「昨年型の『NSX CONCEPT-GT』には、もともとハイブリッドシステムが搭載されていましたが、それを外したことで、パワーの面でライバルに後れを取っていました。でも今年のNSXGTはエンジン面でも改善されていますし、もともとハイブリッドが搭載されない前提で設計がされていますので、マシンのバランスがすごくよくなっています」

そう語る塚越選手とコンビを組む小暮卓史(たかし)選手も、

「新車をドライブしたときは、昨年よりもダウンフォースが減っている印象でしたが、テストを重ねるにつれて、どんどん失ったダウンフォースを取り戻しています。今シーズンは、開発スピードに関してものすごい勢いを感じますね。昨年のような残念な結果には絶対にならないと思います」

と話し、確かな手応えを感じているようだ。

「TEAM IMPUL」安田裕信選手の新しいパートナーとは!?

 

好調レクサスを警戒しつつ、「どんな状況でも安定して速いのはGT-Rの強み。タイトルのチャンスは十分にある」と語る安田選手

■タイトル争いの台風の目は?

昨年はタイトルこそ逃したものの、全8戦中5勝という強さを発揮したニッサン勢。昨年11月にライバルに先駆けて2017年仕様の「GTR NISMO GT500」を発表し、テストで熟成を重ねてきた。

星野一義監督率いるTEAM IMPULの安田裕信選手は、力強く語る。

「レクサス勢が好調なのは気になりますが、僕たちには前年から大きく進化した新しいGT-Rがありますし、強力な新しいパートナーもいます。今年もタイトル獲得を狙っていきます!」

安田選手の“強力なパートナー”とは、今季GT300クラスからステップアップしてきたイギリス人のヤン・マーデンボロー選手だ。

現在25歳のマーデンボロー選手は、ドライビングゲーム『グランツーリスモ』の世界大会で優勝し、それがきっかけでプロドライバーになったという異色の経歴の持ち主。その実力は“日本一速い男”の星野監督が認めており、今シーズンのニッサンの秘密兵器といえる存在だ。

「昨年まで運転していたGT300に比べてGT500はすごく速いけど、何回かのテストでもう慣れた。岡山でレースをするのが待ちきれない!」(マーデンボロー選手)

ゲーマーから“世界最高峰のハコ車レース”ことSUPER GTの頂点にまで上り詰めたマーデンボロー選手は、タイトル争いの台風の目になるかもしれない。

今年も各メーカーのエンジニアとドライバーがプライドをかけて戦うSUPER GT。開幕戦の行方を予想するのは難しいが、今年も大混戦のシーズンになることだけは間違いなさそうだ!

(取材・文/川原田 剛 撮影/池之平昌信)

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2017 SUPER GT 第1戦 岡山国際サーキット【予選】4月8日 LIVE配信 【決勝】4月9日 LIVE配信

プリウスからフェラーリまで、多種多様な30台がエントリーするGT300クラス。今季はベントレーや、プロ野球の横浜で活躍した佐々木主浩氏が総監督を務めるチームも参戦するなど、こちらも見どころいっぱい