“人類史上最速”と評される陸上界のレジェンドは、サッカー界にも旋風を巻き起こすのか!?

“世界最速の男”ことウサイン・ボルト(30歳)は、今年8月の世界陸上ロンドン大会を最後に現役引退を表明した。

言うまでもなく、ボルトは巨万の富を築いた陸上界のスーパースター。引退後は母国ジャマイカでゴージャスな暮らしを満喫するのかと思っていたら…なんとサッカー選手を目指すとか!

5月6日、AFP通信が伝えたところによると、ボルトは「シーズン20ゴール以上。世界のプロサッカー界でトップ50に入る選手になりたい!」と表明。世界陸上終了後の9月にもドイツ入りし、ブンデスリーガのドルトムント(香川真司の所属チーム)の練習に参加する予定だという。

果たして、ボルトは本当にプロのサッカー選手になれるのか? スポーツジャーナリストの折山淑美氏はこう言う。

「彼の走力なら、敵DFをあっという間に置き去りにできるでしょう。また体幹と跳躍力に優れ、身長も196cmあるので、ゴール前での制空権争いも強いはず。ロングパス、クロスボールを多用するチームのセンターFWとしてゴール前で待ち構えるプレースタイルなら通用しそう」

ただし、ボルトが入団を熱望するマンチェスター・ユナイテッドなど、欧州のトップチームでの活躍は難しいかも。スポーツライターの井川洋一氏はこう話す。

「スプリント力だけではダメ。キックの精度、敏捷(びんしょう)性、ステップワークなどの基本技術を高めなければ、トップクラスでは戦えません」

やっぱり、夢物語なのか?

「ただ、ボルト本人はフランス2部など、下部リーグからのキャリアスタートを否定していない。ならば、下部リーグでまずは経験とトレーニングを積み、次のステップとしてイングランド・プレミアリーグのレスターあたりの入団を狙ってみては?

レスターの主力は下部リーグからの叩き上げが多い。しかも戦術は基本的にロングカウンター(ゴール前を守備で固め、自陣の深い位置でボールを奪取した後、敵陣に放り込んで一気にゴールを奪う戦術)。ボルトのスプリント力を生かすにはぴったりです。

試合終盤に投入される“前線のジョーカー”であれば面白い。スタミナ切れの敵DFの最終ラインの裏にタイミングよく飛び出し、独走状態でゴールする、そんなシーンが見られるかも」(井川氏)

レスターには日本代表FWの岡崎慎司がいる。174cmの岡崎と196cmのボルトが凸凹コンビを組んで仲よく例の弓引きポーズを決める…ぜひ見てみたい!

(写真/日本雑誌協会)