“世界一ポジティブな男”がホークスに帰ってきた――。
今やチームの野手最年長となったこの男、ムネリンこと川﨑宗則(むねのり)が電撃復帰の真相を熱く語った。
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いきなりの先制攻撃だった。
「で、久しぶりに日本へ帰ってきてみて、どうですか」
会うなり、ムネのほうからそう訊かれたのである(笑)。おそらく帰国後、何百回と同じ質問をされたのだろう。ムネに会えば、そう訊きたくなるのも無理はない。それほど川﨑宗則のホークス復帰は電撃的だった。
「みんな大騒ぎして、どんな想いでホークスに決めたのかって訊いてくるんだけど、カブスをクビになって、ホークスとの契約書にサインしたというシンプルな話。去年と一緒です。
去年も同じタイミングでカブスをクビになって、それでもカブスでプレーしたい、メジャーに上がりたいと思った。今年はホークスでプレーしたいと思った。ひとつ歳を取って、おれの考え方も変わったってことですよ」
この春のオープン戦で.282という結果を残しながら、去年のワールドチャンピオン、カブスの選手層は分厚く、ムネは開幕メジャーに食い込むことができなかった。開幕直前という「去年と同じタイミングで」カブスをクビになったのである。
ただ、去年は「カブスでプレーしたかった」というムネの言葉を理解するために、知っておかなければならないことがある。
ムネが去年も今年も開幕5日前に解雇通知を受けたのは、カブスがマイナー契約のムネを開幕メジャーに入れずにチームへ残すためには10万ドル(約1100万円)のボーナスを彼に支払わなければならないというルールがあったからだ。
つまり、ムネの解雇は、メジャーには入れられないけどボーナスも支払いたくないというカブスの意思表示であり、それでもよければ再契約するけど…という、足元を見られた話なのである。
「だから、家族のことも考えました。子どもも小さいし(長男は3歳、長女は4ヶ月)、生活していく上で10万ドルのボーナスがあるかどうかは大きかったね。
もしメジャーに上がれなくても、そのお金があればアメリカで勝負できると考えていたから、それもダメだって聞かされて、それじゃあ、生活ができないから日本へ帰るわって…カブスにそう伝えた。朝、メールを見て、球団の意向を確認して、家族に『日本へ帰ろう』と言うまで、2分だったかな(笑)」
◆本日発売の『週刊プレイボーイ』23号「独占インタビュー 川崎宗則」では、5年間のアメリカ生活でかわったこと、変わらなかったことをムネリンが語った! 是非こちらもお読みください。
(取材・文/石田雄太 撮影/繁昌良司)