今回もノルマは勝ち点3だ。
日本代表がW杯最終予選のイラク戦(13日)を迎える。相手はグループ5位で、すでにW杯出場は絶望的。しかも、アウェーではなく中立地のイラン(テヘラン)開催。きっちり勝利を収めて、今予選の最後のヤマ場となる2連戦(8月31日のオーストラリア戦、9月5日のサウジアラビア戦)に余裕を持って臨みたいところ。
とはいえ、イラクは決してラクな相手じゃない。これまでの最終予選で負けた試合はいずれも僅差。内容でも完敗という試合はない。日本が昨年10月に対戦したときも、1-1で迎えた後半ロスタイムに山口がミドルシュートを決めてようやく勝ち越す苦しい展開だった。今年3月にも、オーストラリア相手にドローに持ち込んでいる。
試合を通しての駆け引きやペース配分に難があり、主にそれが原因で勝ち点を落としているけど、個々の選手を見れば、体が大きくて強く、ボール際も激しい。グループ5位に沈んでいることが不思議なチームだ。
また、ハリルホジッチ監督が「いいサッカーができるグラウンドではないかもしれない」と心配していたように、ピッチ状態が悪いのもボールをつなぐサッカーをする日本にとっては気がかり。ピッチに合わせたサッカーをすればいいという声もあるけど、日本にとってそれは簡単なことじゃない。
ここ数年、誰が監督でも似たようなサッカーをやってきたのに、急にロングボールを放り込むサッカーをやれと言われても難しい。相手にプレスをかけられたときにパニックにならずにボール回しができるか。
イラクのテクニックはそれほどじゃないけど、縦へのスピードがあるだけに、不用意な横パス、バックパスには細心の注意を払いたい。
日本の選手たちの状態はよくわからないというのが正直なところ。特に海外組はシーズンが終わったばかりで、気持ちの部分でもコンディションの部分でも一度リセットしているはず。それがどこまで戻っているか。
また、ひと口に海外組と言っても、レギュラーとして試合に出ていた選手、途中出場が多かった選手、試合にほとんど出ていなかった選手といろいろだから、状態の見極めが難しい。
また、国内組ではハリルホジッチ監督がキーマンに挙げる今野が故障明けでどこまで戻っているか。センターバックの吉田のパートナーを務めるであろう昌子(しょうじ) のプレーにも注目だ。
期待したいのは、今季ベルギーでゴールを量産した久保
そんななかで僕が期待したいのは、今季ベルギーでゴールを量産した久保。代表でも3月の最終予選2連戦(UAE戦、タイ戦)でゴールを連発している。両足からの正確なシュートはほかの選手にはない魅力だね。23歳を若手と呼ぶかどうかは微妙なところだけど、彼のような新しい選手が代表で台頭するのはうれしいこと。
ただし、まだまだスーパーな選手という感じはない。本田をベンチに追いやったものの、ピッチ上での存在感は一番よかったときの本田に及ばない。知名度もそう。たぶん、イラクの選手にも本田や長友、香川、岡崎のほうが知られているはずだ。
だからこそ、久保には「日本のエースは俺なんだ」というプレーを見せてほしい。今季の活躍はまぐれじゃなかったということを証明するとともに、最終予選の最後の2連戦に向けて勢いをつけてくれれば最高だね。
(構成/渡辺達也)