阪神の藤浪晋太郎が“崖っぷち”に立たされている。
先月末の27日、プロ5年目にして初めて故障以外で2軍落ち。香田勲男1軍投手コーチは「期限を区切らず、調整させる」と宣言しており、無期限の2軍調整となりそうだ。
「理由は“持病”ともいえる突発性のノーコン病です。特に今季は、突然、制球を乱して大崩れし、修正できない投球が続きました。印象的なのは4月4日のヤクルト戦。5回を投げて9四死球の内容はともかく、畠山の顔面にぶつけた死球は乱闘の発端にもなった。その制御不能ぶりには首脳陣からも『怖くて使えない』との声も上がっていました」(スポーツ紙記者)
3月に行なわれたWBCでは権藤博投手コーチが「荒れ球が彼の持ち味」と評すなど、藤浪はもともと精緻なコントロールを持つ投手ではない。だが、本人はオフにダルビッシュ有らと合同自主トレを行ない、コントロールを磨こうと必死で励んでいたという。
「ただ、コントロールを気にするあまり、かえってフォームのバランスを崩し、ますます制球を乱すようになった。本人は認めてないが、どうもイップスになっているようなんです」(スポーツ紙記者)
イップスとは、精神的な原因などにより、投球の強弱の加減がつけられなくなったり、思った方向に投げられなくなる運動障害のひとつ。これが事実ならば、1軍復帰にはかなりの時間がかかりそうだ。
「よそさんの投手のことだから、余計なことは言えないが」と匿名を条件にコメントをくれたのは某球団の投手コーチだ。
「2軍でグラブの構える位置やプレートの立つ位置を変えるなど試行錯誤しているようだけど、そんな小手先の“治療”は意味がない。今やるべきは、フォームそのものの見直しです」
具体的にはこんな指摘も。
「藤浪の難点は、投げる一連の動作のなかで、上げた左脚を下ろして腕を振るあたりがやけにゆっくりしていること。あのゆっくりさがフォームの狂いを生んでいるように思います。
同じような長身タイプの投手でも、マリナーズの岩隈久志などはその点、リズムのいいスムーズなフォームだから、バランスも自然と良くなる。彼のように投げられたら、自然と制球力もつくしイップスもなくなるんだろうけど…そんなことすらコーチが指摘できていないんだとしたら、チームにも問題ありでしょう」
投手としての素質は日本ハムの大谷翔平にも匹敵するといわれて久しい藤浪。果たして、この試練を乗り越えることはできるか。