2007年以降にメジャー挑戦した主な先発投手の成績

活躍が続かない、故障がち、年俸に見合わない…と、このところ評価が下がる一方の日本人メジャーリーガー。一部の球団は日本市場からの撤退の検討も始めたとか。

■日本人投手の成績が年々下降する本当のワケ

6月24日(日本時間)、ヤンキースの田中将大とレンジャーズのダルビッシュ有が球史に残る名勝負を演じた。両者勝ち星こそつかなかったものの、田中は8回3安打9奪三振、ダルビッシュは7回2安打10奪三振、共に無失点の“競演”でヤンキースタジアムに集まったファンを沸かせた。

両軍の先発投手がいずれも3安打以下で無失点に抑え、9奪三振以上をマークしたのは実に1968年以来で「この100年で2度目」の大記録だとか。

だが、そんな名勝負を繰り広げたにもかかわらず昨今、メジャー関係者の間では日本人投手の株が暴落しているともっぱらの評判だ。これは今オフにもメジャー移籍が噂される大谷翔平(日本ハム)の争奪戦にも影を落とす可能性があるという。

アジア圏を担当する、某メジャー球団のスカウトが言う。

「田中は今季、ここまで6勝7敗、防御率5.56(6月29日現在)。彼の実力からすれば、ファンや球団を納得させるには程遠い数字です。昨年16勝を挙げたドジャースの前田健太も、今季は不調から中継ぎ登板を余儀なくされている。

近年、メジャーに渡った日本人投手、特に先発投手はメジャー1年目こそ好成績を挙げるものの、年々成績も下降気味で故障も多い。それだけに『日本のスター投手を獲っても、結局のところ大金に見合った活躍をしないじゃないか』と、そのメリット以上にリスクを恐れるチームがメジャーでは増えているんです」

活躍すれば相手チームも研究し、対策を練るため、翌年以降も同じ成績を挙げるのは簡単ではない。だが、そうはいっても日本人投手全般の“不振”には、日本人ならではの原因があるのではないか、と同スカウトは指摘する。

メジャーのスタイルには適さない?

「結論から言えば、中4、5日の登板間隔で先発するメジャーのスタイルに日本人投手は適さないという考えが、メジャー関係者の間で“一般論”として浸透し始めている。最近は肩やヒジの故障に見舞われる日本人投手が目立ちますが、これも結局のところ、登板間隔の短さの弊害ではないかと考えられているんです」

ダルビッシュや、かつては松坂大輔(現ソフトバンク)がトミー・ジョン手術を受けているが、近年、目立った故障もなく投げ通せたのは渡米後、ツーシームで打たせて取る投球にモデルチェンジした黒田博樹くらい。リリーフも含めれば藤川球児(現阪神)、田澤純一(マーリンズ)も肩やヒジの故障を経験している。スポーツ紙のメジャー担当デスクが言う。

「上原浩治(現カブス)も渡米時は先発でオリオールズに迎えられましたが、1年目の6月にはヒジの故障を発症し、当時のトレンブリー監督の提案でリリーフに転向。岩隈久志(マリナーズ)や前田健太もチームドクターの所見では共に微細ですが肩に異常があるとされ、球団側は“要注意選手”とみている。

現に岩隈は今年5月に故障者リスト入りしています。『日本時代からの蓄積疲労があるとはいえ、これだけ日本人投手に故障や不振が多いと、やはり登板間隔の違いは無視できない』との声がメジャー関係者の間で大きくなるのも無理はありません」

◆日本人投手の中4日登板が消滅!? 『週刊プレイボーイ』(7月3日発売)「メジャー球団が日本市場撤退を始めた!!」では、マック鈴木氏がメジャーでの成功戦略を解説。そちらもお読みください!

(取材/本誌ニュース班)