他の代表選手とは違い、異色のキャリアを経験する加藤恒平

こんな成り上がり方もあるのだ。J1でのプレー経験がないまま単身ヨーロッパに渡り、モンテネグロ、ポーランド、ブルガリアとマイナー国を渡り歩き、ついには日本代表に初招集。外見や話しぶりは好青年そのものだが、言葉の端々(はしばし)に芯の強さがにじみ出る。

プロ入り前の学生時代に飛び込んだアルゼンチンでは、負けが込んだチームにサポーターが激怒し、猟銃を撃ちながらロッカールームに怒鳴り込んできたこともあったという。

エリートコースを歩んできた他の代表選手とはまるで異なる経歴を持つ28歳のMF・加藤恒平(かとう・こうへい)を直撃した。

* * *

―残念ながら、親善試合のシリア戦(6月7日)、W杯最終予選のイラク戦(6月13日)とも出場機会はありませんでした。率直な感想は?

加藤 初招集だろうと、呼ばれたからには試合に出たいという気持ちが強かったので残念です。代表に選ばれてうれしかったとかではなく、悔しさしかないですね。

―合宿、遠征と代表に参加してみての収穫は?

加藤 これまで世代別でも代表チームには縁がなかったので、日本のトップ選手が集まった中で自分の立ち位置を確認できたことは大きかったです。課題も出ましたが、何もできなかったわけではなく、やれる部分もありました。これから追いつき、追い抜ける位置にはいるなと確認できたことはよかったです。

―招集の連絡は、誰からどうやって受けたのですか?

加藤 (日本サッカー)協会の方からLINE通話で。

―え、それは意外です。

加藤 最近は代理人とのやりとりなんかもほとんど無料の通信アプリですよ。

―代表入りを聞いたときは、どんな気持ちでしたか?

加藤 いずれは代表に入りたいと思っていましたけど、これまで(ロシアを除く)東欧でプレーしている選手が選ばれたことはなかったですし、僕自身ここからもう一段ステップアップして活躍すれば代表入りもあるかな、くらいに考えていたので…単純に驚きましたね。

◆『週刊プレイボーイ』29号では、このインタビューの全文を掲載。至れり尽くせりで驚きの連続だった日本代表での対応、今後のキャリアアッププランを加藤選手が語る!

(取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!)