プロ入り後の7年間でメジャー出場はわずか117試合と、ファンの不安は尽きないが、それを覆す活躍となるか

やれるかどうか、というよりやってもらわないと困るんですけどねぇ―。

そう漏らすのは、在阪スポーツ紙デスク。視線の先は、阪神に途中入団したジェイソン・ロジャース内野手(29歳・前パイレーツ3A)だ。

「長打力を期待して獲(と)ったはずなのに、いざ来日してみればパワー不足。フリー打撃でも柵越えはわずかで、あまりの貧打ぶりに金本(知憲)監督も『まだ体ができていない。しばらく2軍で調整させる』と、即1軍での起用を断念していたくらいなんです」(デスク)

シーズン途中にもかかわらず「体ができていない」というのもとんだ手抜きだが、阪神の外国人選手の“ハズレぶり”は、もはや伝統。在阪TV局関係者が言う。

「今回も長打力不足を補うはずが、獲ったのはメジャー3年間で本塁打4本の中距離打者。獲得が決まった時は金本監督も絶句したとか(笑)。実は、本命は他に2、3名いたようなのですが、すべて断られ、滑り止め同然のロジャースを確保したという話があるんです(苦笑)」

一方で、ロジャースをこう評価する声も。コーチ時代、タフィー・ローズ(元近鉄など)やウラディミール・バレンティン(ヤクルト)らを指導した野球評論家の伊勢孝夫氏はこう見る。

「ホームラン打者ではないけれどパンチ力はあり、スイングにクセもない。特に左投手の内角に攻め込んでくる球をうまくとらえてレフトスタンドに運ぶ技術も持っている。広角にも打ち分けられ、足もそこそこ。掘り出し物とまではいえないが、案外、やりそうな要素は持っています。(マット・)マートンほど打率は残せないが、長打力はマートン以上。そんなレベルの選手だとは思いますね」

ただ、こうクギを刺した。

「一般的に、外国人打者が日本の野球になじむまでに1ヵ月以上はかかるんです。キャンプやオープン戦を経験していないロジャースが成功する確率は、正直、低いと言わざるをえない。それで活躍するとしたら、ものすごいセンスを持っているか、まぐれ当たりのどちらかでしょう(笑)」

虎党とすれば、もはやまぐれ当たりに期待するしかない、というのか…。

若手への刺激剤としての“効用”も?

伊勢氏は、その起用法にも言及した。

「ロジャースを一塁で起用するなら、ようやく打ちだしたルーキーの大山悠輔はまた控えなのか? 中谷将大や原口文仁ら、せっかく使ってきた若手の出番を奪うことになるのではないか?」

それについては、金本監督はこう明言している。

「ロジャースにはやってもらいたいけれど、同時に野手の競争が激化することも期待している。そこを勝ち抜いたらレギュラー。そんな感じで、誰かがポジションを確保してほしい」と若手への刺激剤としての“効用”も織り込んでいるようなのだ。

糸井嘉男(よしお)の離脱により、18日に1軍登録されたロジャース。21日の神宮・ヤクルト戦では2打席連続本塁打で嬉しい誤算となったが…。伊勢氏はこう結んだ。

「要は、金本監督がどれだけ我慢して使い続けるか。出番さえ多く与えれば、そこそこの結果は出すタイプですよ」

若手だけでなく、途中入団の外国人選手まで我慢して使わなければならないとは…。金本監督の忍耐は続く。