勝てば2018年ロシアW杯出場が決まる大一番! 相手は近年、ある意味、韓国よりも因縁が深くなっているオーストラリア。ハリルホジッチ監督率いる日本代表が“天敵”を撃破するカギとは…!?
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8月31日、われらが日本代表は埼玉スタジアムでオーストラリア戦に臨む。グループB首位の日本を勝ち点1の差で追っている相手だけに、W杯大会へ自動出場できるグループBの2位以内となるため、ハリルジャパンは眼前の敵を何がなんでも撃破しておきたいところだ。
ただ、オーストラリアについては、2015年アジア杯で初の王者となり、今年6月に開催されたコンフェデ杯では、ドイツやチリといった世界の強豪と互角の戦いを演じた…といった程度のことは知られているものの、チームや選手の具体的な情報がほとんど日本に入ってきていないのが、なんとも不気味。
そんななか、週プレはサッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)の裏の裏まで知り尽くしているだけでなく、日本のサッカー事情にも精通した人物とコンタクトを取ることに成功した。オーストラリアの公共テレビ放送局「SBS」の元サッカーキャスターで、現在は日本を拠点にアジアやオーストラリアのサッカーシーンを精力的に取材している、スコット・マッキンタイア氏である。
オーストラリア代表の実像をはじめ、試合展開の予想やカギを握る選手に至るまで、彼に大いに語っていただこう! まずは、現在のオーストラリアがどんな特徴を持つチームなのかについて。
「その前にちょっと言っておきたいことがある。対戦が迫ってきたからか、このところ日本のメディアでもサッカルーズについて時々言及するようになったよね? ただ、オーストラリアを評して、どこも判で押したように使いたがるのが『選手のサイズに恵まれ、フィジカルが強い』というフレーズ。僕からすればそんなことを言ったり書いたりしている記者は、06年ドイツW杯での日本戦以降、オーストラリアについての情報をアップデートできてないよ」
ならば、最新版サッカルーズの姿とは?
「基本フォーメーションは3-4-2-1。フィールドプレーヤー全員がよく走り、エリアや状況に応じて強烈なプレスをかけ、相手ボールを奪う。そして日本の人たちには信じられないかもしれないけど、今のポステコグルー監督になってからのオーストラリアのスタイルは、パスをつないでボールを支配するポゼッションサッカーが主体。
というか、ドイツであろうとブラジルであろうと、どんなチームを相手にしてもポゼッションサッカーしかやったことがない。もちろん、実際に試合を支配できたかどうかは別だけどね。とはいえ、今のサッカルーズは、ここ十数年で最強の代表チームに仕上がっていると思う」
ポステコグルー監督が選手に求めるのは、ボール保持や試合テンポの緩急をつけることで、体格はまったく重要視していないのだという。
「何しろ彼は、昔のオーストラリアが得意にしていたロングボールをゴール前に放り込むキック&ラッシュ戦法を“憎んで”さえいるんだからね(笑)」
(取材・文/栗原正夫 撮影/藤田真郷)