サウジ戦では“消えていた”本田。コンディションに不安があったとはいえ、代表でここまで存在感がない彼はあまり見たことがない

最近の本田圭佑は、とにかく冴(さ)えない。日本代表でも新天地のメキシコ・パチューカでも出場機会が少なく、プレーも精彩を欠いている。

この1年でハリルジャパンには次々と新戦力が台頭してきた。そんな中、衰えが顕著な本田をメンバー入りさせる意味はあるのか? “本田不要論”の是非を検証してみた!

■“右サイド本田”はもはや限界?

9月5日のサウジアラビア戦(0-1で敗北)で、本田は右ウイングで先発出場を果たしたが、特にインパクトを残すこともなく、前半45分で途中交代させられた。この試合の本田について、スポーツジャーナリストの井川洋一氏はこう話す。

「サウジ戦の本田は、とにかく遅かった。もともと足の速い選手ではありませんが、ボールを受けた後の一歩目や、ドリブルでの切り返しといった細かいプレーでも瞬発力がなくなっています」

かつてはトップ下やボランチを主戦場としていた本田だが、前所属チームのイタリア・ACミランや、アギーレ前監督時代(2014年8月から15年1月まで)の日本代表では基本的に右サイドが“定位置”になった。

しかし、本田自身はその起用法に対して少なからぬ不満があるようで、9月5日のサウジ戦後も「自分の一番の良さは真ん中で生きると(中略)自負している」と話していた。では、本田が右サイドで起用され続ける理由とは?

「日本代表に限定すると、まずは右サイドバックの酒井宏樹と相性がいいことが挙げられます。運動量が多い酒井が後ろから追い越すまで本田がボールを保持し、パスを出す。これは日本代表の攻撃の形のひとつになっている。

また、本田には左足の強いシュートがあります。彼のキック力は現在の日本代表の中で、最も“重い”。右サイドから中に切れ込み、ミドルレンジからのシュートで、ゴールはもちろん、キーパーがはじいてFWが押し込むといった形も期待できる。

ただ、そのためにはボールを受けた際にマークされているDFを引き離す必要があるんです。でも、スピードが衰えている今の本田にはそれができない。逆にボールロストをして、ピンチを招くシーンが多くなっていますね」(井川氏)

現状では右サイドの起用には限界がある、と考えていいかもしれない。

◆『週刊プレイボーイ』41号「『ハリルジャパンに本田圭佑は必要ないのか』会議」では、他の論点からも徹底検証しているので、そちらもお読みください!

(取材協力/和田哲也 撮影/藤田真郷)