引退セレモニーの後、球場を一周してファンの声援に応える井口。来季は指揮官としてマリーンズを率いる

「オレの采配が当たったろ」

引退試合の主役をなぜか6番という中途半端な打順に置いた現指揮官は、そう言って笑った。

9月24日、千葉――。選手生活、最後の日を迎えた現役最年長野手、井口資仁(ただひと)は土壇場で劇的な同点ホームランを打って格の違いを見せつけた。一打席でも多く回ってくる1番か主役に相応(ふさわ)しい4番かと思いきや、伊東勤監督が井口の名前を書き入れた打順は6番。

無粋だなぁと思いきや、最後の最後、ホームランが出れば同点という場面で打順が巡ってくるのだから、野球の神様は井口に味方したということか。

「野球の神様ですか? もちろん信じますよ。だから僕は神様に裏切られないように練習してきたし、グラウンドの土もきれいにならしてきました。そういうことを疎(おろそ)かにすると、足をすくわれるんです。

今年も8月の千葉でありました。マウンドで高く跳ねてくれたおかげでセカンドゴロがセンター前ヒットになった…ありがとうございますって心の中で呟(つぶや)きました(笑)」

井口は来年からロッテの新たな指揮官として采配を振る。引き続き、野球の神様は井口の味方になってくれるだろうか。

『週刊プレイボーイ』42号(10月2日発売)では、日米を股にかけた21年の現役生活に幕を下ろした井口資仁を直撃インタビュー!

(取材・文/石田雄太 撮影/小池義弘)