『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。
人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。
今回は、年に何度か大相撲巡業を見に行くという彼女が、印象的だった「大相撲ODAIBA場所」について語ってくれた。
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今週の話題は「大相撲巡業」です。皆さんは行かれたことがありますか?
巡業は全国各地で行なわれていて、本場所がない月にはほぼ毎日のようにやっています。この巡業で行なわれる取組は「花相撲」と呼ばれるもので、勝敗が番付や給金に反映されません。いわば、エキシビションマッチですね。
ただ、巡業には相撲のすべてが詰まっているんです。朝は公開稽古があり、その裏で人気力士たちの握手会が開かれます。取組の合間には「相撲甚句(じんく)」も披露されます。甚句とは、力士が歌う七五調の歌のことで、相撲の世界に古くから伝わる文化のひとつです。相撲の禁じ手やルールをコント風に実演する「初切(しょっきり)」も人気がありますね。
何より、本場所中とは違う穏やかな顔の力士たちが見られるのがポイント。違う部屋の力士がじゃれ合ったりしてる様子を見ると、ほっこりします(笑)。こういう姿に触れると、本場所の緊張感がより際立つので、相撲好きにこそぜひ行ってほしいですね。
私も、年に何度かは巡業に出かけますが、今年印象に残ったのは「大相撲ODAIBA場所」。巡業のなかでも珍しく、野外で開催されました。このとき、ちょうど完成間近だった実物大ユニコーンガンダム立像と力士たちを同時に見ることができて、市川的には夢のようでした(笑)。
私は取材のお仕事で行ったので、カメラと一緒だったんですが、稽古中に私たちに気づいた白鵬が、気迫たっぷりにこちらに向かってきてくれるという一幕もありました。驚いたことに、そのとき、白鵬の肌がぱっと桜色になったんです。白鵬って、本場所の土俵入りなんかを見ていると、気合いが満ちることによって肌が桜色に色づくんですが、わざわざ取材陣のためにそれを見せてくれたんですね。
お台場巡業ならではのフードコーナーに感激
サービス精神旺盛な白鵬は、花相撲でも盛り上げます。普段より塩をまく、「はっ!」「ほい!」と大げさに声を出す、負けると「あちゃー」と顔をしかめる……。もう、わざとらしいくらいオーバーアクションで、まるで自分のモノマネをしてるみたい(笑)。でも、やっぱり白鵬の取組にはお客さんも大盛り上がりするんですよ。
さて、このお台場巡業ならではの出し物は、フードコーナーでした。いろんな相撲部屋で実際に作られているちゃんこを食べることができたんです。さらに、高安ママの特製焼きビーフンまで…!
高安が大関に昇進した際、カメラの前でチャーミングなガッツポーズをして有名になった高安ママ。そんなママが監修したビーフンも売られてたんです! 高安も子供の頃から好物だったという、ママの手作りビーフン。実際に食べることができて、本物の高安ママにもご挨拶することができ、感激しました(笑)。
最近の巡業の盛り上がりを見ていると、相撲ブームを実感しますね。特に稀勢の里が横綱になってからは、相撲に興味を持ちたての方や、若い女子が目に見えて増えました。かく言う私の祖母も、稀勢の里をきっかけに相撲に興味を持ったようで、「巡業が見たい」というので岐阜巡業に連れていきました。ただ、その日は稀勢の里が休場したので、また連れていってあげなきゃと思っています(苦笑)。
●市川紗椰(いちかわ・さや) 1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、10月7日(土)21時からオンエアのJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』ではナビゲーターを務める。札幌巡業では、自衛隊駐屯地の滑走路らしき所にまわしが干してあった