ヒートアップしてきた今年のドラフトが10月26日と迫ってきた! ※写真はイメージです

今年の主役・清宮幸太郎のプロ入り表明で俄然、ヒートアップしてきた今年のドラフト戦線。

空前の指名重複も予想される中、あえて真っ向勝負で清宮獲得に挑む球団と、勝負を避けて高校ビック3の残るふたり(中村奨成、安田尚憲)に方向転換する球団。そして、その間隙を突いて大学・社会人の即戦力投手の一本釣りを目論む球団もありそうだ。

各球団のスカウトの目利きが問われる中、恒例の関係者座談会で目前(10月26日)に迫った今年のドラフトを大予想。野球ファン必読!

A:アマチュア野球専門誌編集者B:若手現役スカウトC:元在京球団スカウトD:アマチュア野球記者

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 9月下旬に清宮幸太郎(内野手・早実)がプロ入り希望を表明。元々、半々の確率でありえたことですが、まさに今年のドラフト戦線を一変させましたね。

 現場はあの時期でよかったというのが本音です。清宮が進学であれば、代わりの1位指名候補に少しでも早く誠意を見せなきゃいけない。あとは上(球団トップ)が(清宮指名で)いくか、降りるかの判断をしてくれたら、僕らはそれに沿って動くだけですから。正直、何球団いくのか、今の時点でもまだ予測がつきませんが…。

 俺は最終的に8球団前後と予想している。現時点で回避を決めているのは広島とオリックスだけ。セ・リーグでは早くから指名を明言していた阪神、DeNA、ヤクルトは確実。中日がここにきて微妙な情勢だけど、巨人は当然いくだろう。パ・リーグはソフトバンクが確実で、西武、日本ハム、ロッテも現時点ではいきそう。楽天が回避の気配を見せているが、土壇場までどう転ぶかわからない。

 清宮は12球団どこでもOKの姿勢だけど、メジャー指向が強いようなので、ポスティング移籍を認めていない巨人とソフトバンクは入団交渉で多少揉(も)めるかも。まぁソフトバンクは早実の大先輩でもある王会長が直接出馬すれば問題ないでしょうけど、巨人はどうするんだろう?

 入団交渉に父親(清宮克幸氏)が同席してきたら厄介だぞ。各球団との面談の時にも、西武に選手寮の建物の老朽化の問題を訴えていた。あれは現場を知っている人間でなきゃ出てこない話。いろんな人脈から情報を入手しているんだろう。これまでのように、クジさえ当たればこっちのものってわけにはいかない相手だな。

 巨人なんて「どうして若手が育たないんですか?」と聞かれかねない(笑)。それはさておき、高橋(由伸)監督がクジを引くってほんと? 当たりを引けば新たな師弟物語の始まりだし、外れてもそれはそれで収まりがつくんだけど。あの性格じゃ拒みそうだと言われてた。鹿取GMあたりでお茶を濁すんじゃないかと。

ソフトバンクは昨年も田中正義(創価大)をクジで引き当てた強運の工藤監督が「ここは王会長に」と空気を読んだ発言。もし、それでクジを引き当てたら最高のドラマですね。

 話を戻して、清宮を回避する球団の動向ですが、広島は松田元オーナーがいち早く、甲子園で清原和博の本塁打記録を塗り替えた“高校ビック3”のひとり、地元のスター候補生でもある中村奨成(捕手・広陵)の1位指名を明言しました。

 当初、広島は中村を2、3位あたりで獲るつもりだったんだろう。鈴木誠也(2012年ドラフト2位)の時みたいに。巨人もスカウト陣が早い時期から鹿取GMにプッシュしていて、クジで負けた時の外れ1位候補に挙げていたらしいけど、甲子園の活躍でみんな計算が狂ったな(笑)。

 広島には今年、高卒1年目(昨年ドラフト4位)ながらファームでほぼフル出場を果たし「将来のレギュラー間違いなし」と英才教育を受けている坂倉将吾というキャッチャーがいます。U-18ワールドカップで木製バットへの対応に課題を見せてしまった中村だけに、入ってからかなり厳しい競争が待っていますね。

高校ビック3+即戦力左腕2枚で1位入札は決まり?

 でもそれが広島の育成スタイルでしょう。どっちも強肩でバッティングがいいから、負けたほうが野手転向ってことになるのかな。巨人の小林誠二のように、若いキャッチャーはレギュラーを約束したら成長が止まる。だから巨人も高校の後輩でもある中村を獲って小林の刺激剤に…という狙いはあったんでしょうけど。

 残る高校ビック3のひとり、安田尚憲(内野手・履正社)は、楽天が清宮を回避した際の1位入札が予想されています。中村とは対照的にU-18で木製バットへの適応力を証明して評価を上げましたね。

 野球の能力では清宮より上かもしれないね。体格的にも見劣りしないし、守れるポジションも多い。同じ左打者でも「“柔”の清宮、“剛”の安田」という感じでタイプの違いはあるが、将来的には清宮よりも成績を残す可能性があります。

 ただ、プロ野球選手というのは騒がれてナンボだからな。清宮のホームランと安田のホームランじゃファンに与えるインパクトが違う。だから1位はみんな清宮なんだよ。

 楽天は安田をもし抽選なしで獲得できたらオイシイですよ。中日も球団上層部は人気面から清宮希望ですが、現場には安田を推す声もあると聞いています。日本ハム、ロッテあたりの動きもちょっと不気味です。何しろ清宮よりも確実に競争率は低いんだから。

 そんな中、オリックスは早くから即戦力投手狙いを明言してきました。

 アマチュアNo.1左腕、田嶋大樹(投手・JR東日本)ということになるんでしょうね。高校3年時(佐野日大)にもドラフト候補に挙がっていましたが、当時よりもはるかにレベルアップしています。あの時は「なぜプロに来ないの?」と疑問でしたが、社会人経由は正解でしたね。身体作りや変化球の習得など3年間を上手く使ってきました。おとなしい性格だけに、プロのファームで3年間やっていても、ここまでにはなれていなかった気がします。

 オリックスは一本釣りを目論んでいるでしょうけど、中日の動きが気になりますね。同世代の小笠原慎之助と左腕2枚看板が形成されたらセの他球団には脅威ですよ。日ハムも清宮から急遽、方向転換の可能性ありとの情報があるけど…。

 競合を避けて確実に一本釣りを狙うのであれば、大学ジャパンのエース・東和樹(投手・立命大)を1位入札してくる球団があるかもな。身長170cmそこそこの小柄な左腕だが、変化球の球種も多いのでプロでも先発でやれる力がある。

 高校ビック3+即戦力左腕2枚。1位入札はこの5人までですかね。清宮への重複次第ですが、もし安田や東が入札漏れした場合、昨年の佐々木千隼(ロッテ)のように、外れ1位でかなりの球団の指名が重なることも。そうなると、そこも外した“外れ外れ”1位に各球団のカラーが出てくる気がします。

◆この続き、後編は明日配信予定。外れ1位から下位指名の隠し球まで各球団のカラーが見えてくる!?

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