平昌五輪の開会式が迫るが、東京五輪よりも盛り上がらない…。 ※写真はイメージです 平昌五輪の開会式が迫るが、東京五輪よりも盛り上がらない…。 ※写真はイメージです

開幕を3ヵ月後に控えた韓国の平昌(ピョンチャン)冬季五輪がさっぱり盛り上がらない。

「平昌五輪に関心がある国民はわずか35%ほど。『開会式が100日後に迫っているのに、1000日後に開かれる東京五輪より盛り上がっていない。これでは成功は望めない』との声も上がるほどです」(韓国紙東京特派員)

焦った韓国政府は第2次チケット販売の初日となった9月5日、文在寅(ムンジェイン)大統領が自らパソコンで観戦チケットを購入するパフォーマンスを披露し、国民に盛り上げを呼びかけた。しかし、それでも10月10日時点での売れ行きは、販売目標107万枚の3割程度にとどまっているのだという。

追い詰められた韓国政府が今、最も期待をかけているのが、ほかならぬ隣国・北朝鮮の参加表明だ。京郷(キョンヒャン)新聞の徐義東(ソ・イドン)編集委員が言う。

「国際大会で好成績を収めたフィギュアスケートペアのリョム・テオク、キム・ジュシク組が出場権を獲得しています。もしふたりが平昌に来れば、共に来韓する選手団の中には朝鮮労働党の高位の人物もいることでしょう。五輪で南北対話となれば、内外の関心はいやでも高まります。

それに、もし自国選手が参加するなら、金正恩(キム・ジョンウン)委員長もさすがに五輪期間中はミサイル発射や核実験を控えるはず。韓国の安全保障という観点からいっても、文政権はどうしても北朝鮮に五輪参加してほしいのです」

ところが、そんな韓国政府の願いをよそに、いまだIOCに北朝鮮の参加申請書は届いていない。在京の韓国大使館関係者もため息をつく。

「北朝鮮にはIOCを通じて、五輪参加費用を全額負担すると伝えてあるのですが、なしのつぶて。申請期限の来年1月29日までに参加表明するかどうか、やきもきしています。もし、それまでに北朝鮮がミサイル発射や核実験を強行すれば、五輪参加はない。平昌五輪も盛り上がらず失敗に終わるでしょう」

そしてもうひとつ、韓国政府には心配事がある。それは大会後の施設利用問題だ。前出の東京特派員が説明する。

「平昌郡は人口4万ほどの小さな町で、大型施設の維持管理は重荷。そのため五輪で使われる13施設のうち、3万5千人収容のメインスタジアムを含む大半の施設は大会後に解体される予定ですが、それでもいくつかは残ります。

しかも、そのうちスピードスケート競技場、アルパイン競技場、アイスアリーナの3施設は活用計画すら未定で、年間約14億円の赤字が見込まれる。この赤字額の大きさが、開催自治体のやる気を失わせる元凶になっているのです」

大会の成功は北朝鮮次第で、後にはずっしりと重たい“負の遺産”も待ち受ける。「やらなきゃよかった」という声も聞こえてきそうだ…。