ベルギー戦後の会見では「このチームにものすごく可能性を感じた」と満足げに語ったハリルホジッチ監督だが… ベルギー戦後の会見では「このチームにものすごく可能性を感じた」と満足げに語ったハリルホジッチ監督だが…

ハリルホジッチ監督の就任後初めて、日本代表が世界トップクラスの代表チームとぶつかった今回の欧州遠征。

対戦相手はFIFAランキング2位のブラジルと同5位のベルギー。7ヵ月後のロシアW杯に向けたこれ以上にない試金石だったが、収穫に乏しい内容で連敗を喫した。

強豪相手の2連戦には海外メディアからも多くの視線が注がれたが…。

* * *

各国記者からは厳しい意見が相次いだが、当のハリルホジッチ監督は至って楽観的。ベルギー戦後の記者会見では「選手たちにはロッカールームで『大きなライオンを倒すところまでいったぞ』と祝福した」と語っているほどだ。

だが、ハリルホジッチをよく知るというベテランのバレ記者は、そもそもハリルホジッチのような厳格な人物が日本の指揮官としてふさわしいか疑問だと指摘する。

「ヴァイッドのことは、昔からよく知っている。常に厳格で規律を求める人物だ。ただ、それが今の日本に必要なことかどうかは疑問が残るね。日本人や日本社会はもともと規律があって組織的。むしろ日本に必要なのはフランス語で『ファンテジー(fantaisie)』というけど、クリエイティブな要素じゃないかな。だから、ヴァイッドの下でより規律を強化する必要はない気がするね。

かつて日本代表の監督を務めていたフィリップ・トルシエのことで覚えているのは、遠征先で選手をバスから降ろして、自力でホテルまで帰り着く方法を考えろと言った、という話。当時、日本の選手には新しい方法を見つけ出す創意や度量が不可欠だというのが彼の主張だった。ホテルへ帰るアプローチの仕方も、ゴールを奪うことへのアプローチも同じというわけさ。

それを思うと、ヴァイッドはとてもいい人物で、私も好きだけど、彼が日本の選手をトップレベルに成長させるメンタリティの持ち主かどうかは正直、確信が持てない」

◆『週刊プレイボーイ』49号(11月20発売)「日本サッカーに必要なのはハリルじゃない!」では、海外メディアから注目された強豪相手2連戦を世界はどう見たのか、現地観戦した各国記者たちの声を交えて総括。そちらもお読みください!

(取材・文/栗原正夫 撮影/藤田真郷)