11月15日、2017年のプロ野球12球団合同トライアウトが、秋晴れの広島・マツダスタジアムで行なわれた。この日、結果を出したからといって、来季の契約が約束されるわけではないが、それでもやるしかない。
参加した投手26人、野手25人の中から注目選手をご紹介しよう。
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●林 昌範(はやし・まさのり)投手 DeNA(34歳) 巨人、日本ハムでも活躍した、「全球団勝利」の記録を持つベテランサウスポーは、打者4人に対して3安打、1四球を許す厳しい内容に。2011年以来となる2度目の戦力外通告を乗り越え、再び1軍のマウンドにたどり着けるか
●大隣憲司(おおとなり・けんじ)投手 ソフトバンク(33歳) 2013 年に発症した黄色靱帯骨化症を乗り越え、翌年の日本シリーズで勝ち星を挙げた不屈の左腕は、今トライアウトの“目玉”ともいえる存在。妻の優子さんは、アイドル時代の約10年前に週プレのグラビアにも登場
●木村昇吾(きむら・しょうご)内野手 西武・37歳 “キムショー”の愛称で親しまれたユーティリティプレーヤーは、2008年から8シーズン広島に在籍。球場の鯉党たちから大きな声援が送られた。第3打席に右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、健在ぶりをアピール
●宇佐美 塁大(うさみ・るいた)外野手 日本ハム(23歳) 地元である広島・マツダスタジアムが会場となったトライアウトで、左中間スタンドにホームランを放つなど、バットで猛アピール。甘いマスクで、日本ハムの2軍本拠地・鎌ケ谷に通う熱心な女性ファンも多かった
川相拓也、加藤正志、奥浪 鏡、榎本 葵
●川相拓也(かわい・たくや)内野手 巨人(26歳) 世界のバント職人、川相昌弘巨人2軍監督の息子。2015年に育成選手として巨人に入団。16年に昌弘氏が3軍監督に就任して“父子鷹”が実現したが、戦力外通告の際には「戦力にならない」と告げられたとも
●加藤正志(かとう・まさし)投手 元楽天(28歳) 今季は加圧トレーナーとして勤務する傍ら、社会人野球で腕を磨いたアンダースロー右腕。前所属の楽天のものではなく、現在所属するクラブチームのユニフォームに身を包んで挑んだ今トライアウトでは3三振を奪った
●奥浪 鏡(おくなみ・きょう)内野手 元オリックス(22歳) 大柄な体と柔らかい打撃で、高校時代は“岡山の李大浩”と呼ばれた。不祥事で今季途中に契約解除となり、久々の実戦だったが、シートノックの段階からはつらつとした動きを見せ、「野球ができる喜び」を表現した
●榎本 葵(えのもと・あおい)外野手 ヤクルト(25歳) 2年連続の戦力外通告で、トライアウトも2度目の参加となった。昨年は1安打に終わったが、今年は右越え本塁打を含む3安打、1四球と全打席で出塁。2014年のU-21野球ワールドカップメンバーが再びプロへの扉を開くか
松本啓二朗、巽真悟、古本武尊、柿田裕太
●松本啓二朗(まつもと・けいじろう)外野手 DeNA(31歳) 高校時代は投手で、2004年の夏の甲子園でダルビッシュ有に投げ勝っている。「荒川事件」以降、細山田武史(現トヨタ自動車)と共に初めて早大から横浜に進んだ選手として期待されたが、プロの壁にはね返された
●巽真悟(たつみ・しんご)投手 元ソフトバンク(30歳) 今年は人材派遣会社で勤務した元ドラ1の右腕。「受験を決意したのが1ヵ月半前、ボールを使った練習を再開したのが1ヵ月前」という準備期間で挑んだ2度目のトライアウトだったが、力強い腕の振りは健在だった
●古本武尊(ふるもと・たける)外野手 中日(26歳) 落合博満監督退任後、空き番号となっていた中日の「背番号66」を与えられたことも話題に。アマ時代から評判のインサイドアウトの軌道で振り抜くスイングは健在で、右越え本塁打に逆方向への2安打と広角に打ち分けた
●柿田裕太(かきた・ゆうた)投手 DeNA(25歳) 「1軍が使う球場で投げたい」と受験を決意し、4者連続三振の快投。ドラフト1位入団よりも、ルーキーイヤーの「当て逃げ事件」の印象が強いファンも多いだろうが、それを覆すチャンスが巡ってくるかも?
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(取材・文/村瀬秀信 撮影/西田泰輔)