23歳という若さもあり、メジャーの評価はFA市場の目玉・ダルビッシュと同等かそれ以上。それゆえの“特別ルール”だ。

日本の各マスコミはもちろん、MLB公式サイトから『スポーツ・イラストレイテッド』などのスポーツメディアまで、アメリカでも連日のように報道。二刀流の怪物・大谷翔平をめぐり、日米で異例の“狂騒曲”が巻き起こっている。

その舞台裏はどうなっているのか?

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言うまでもなく最大の焦点は、12月1日(米時間、以下同)からの交渉期間を経て、大谷がどの球団と契約するかだ。11月下旬には米ブックメーカー「スポーツ・ベッティング・ダイム」が移籍先を賭けの対象にするなど、その注目度はすさまじい。在米スポーツライターが解説する。

「先日まとまった新ポスティング制度では、選手側とメジャー球団の交渉期間は通常30日間。しかし、大谷だけは“特別ルール”として、交渉期間が12月1日から22日までと短く設定されました。大谷に対するメジャー側の評価は別格です。

まだアメリカで一球も投げていないにもかかわらず、投手としては今オフのFA市場の目玉といわれるダルビッシュ有と同等の先発1番手から3番手という扱い。そんな大谷の動向が早めに決まらないと、多くのFA選手たちが宙ぶらりんになってしまうのです」

ただし、交渉期限短縮の代わりに、もうひとつ特別ルールが設けられた。交渉期間開始に先立ち、獲得希望球団は大谷サイドに“PR書類”を送ることが許されたのだ。

「AP通信の報道によれば、大谷の代理人はメジャー全30球団に育成システムやトレーニング・メディカル体制、そして大谷の投打それぞれに対する評価などに関する“質問状”を送っている。各球団が大谷サイドに提出したと思われるPR書類は、いわばそれに対するアンサーです。

特に重要なのは、大谷をどう起用し、どうケアしながら二刀流を実現させていくかという具体的なプラン。その内容を基に、大谷サイドは各球団の本気度を確認しているでしょう」(在米スポーツライター)

つまり事実上、大谷争奪戦はポスティング開始前から始まっていたのだ。

取材先は日本国内のみにとどまらない

何から何まで異例の“狂騒曲”に、日本のマスコミも振り回されている。スポーツ紙メジャー担当デスクが言う。

「意中の球団は決まったのか、それともまだ絞れていないのか。今はその確認が大きな仕事です。たとえ1日でも他社に先を越されたら終わり(苦笑)。本人が口を割るはずもないことは承知の上ですから、代理人や日本ハム球団とその周辺、あるいは母校・花巻東高校の関係者まで広範囲に探りをかけています」

そしてもちろん、その取材先は日本国内のみにとどまらない。メジャー各球団の動きにも日々、神経をとがらせているという。

「メインターゲットは各球団のGM(ゼネラルマネジャー)ですが、日本のように自宅の玄関先で待ったりしたら、アメリカでは警察を呼ばれます(苦笑)。それでも記者によっては、ひと言コメントを取るために毎日、球場の事務所前に立って出入りをチェックしています。記者がGMと面識がある場合には電話やメールでも問い合わせます。まあ、まともな返事は期待できませんが…。

また、最近では米メディアの各球団担当記者のツイッターなども重要な情報源です。ただその場合、重要なのは『誰が書いているか』。ひとくくりに記者といっても、新米や信頼度の低い人もいれば、球団幹部のアドバイス役をするほどの記者もいます。後者なら、それなりに信憑(しんぴょう)性の高い“におわせネタ”をツイートしてくれる可能性がありますから」(メジャー担当デスク)

◆移籍先が決まる“Xデー”はいつになるのか? この続きは『週刊プレイボーイ』51号「日米『大谷メジャー狂騒曲』何から何まで異例すぎる舞台裏!」にてお読みいただけます!