来年6月に開幕するロシアW杯の組み合わせが決まった。いわゆる“死の組”が生まれず、強豪国がうまくバラけたという印象だ。
A組では地元ロシアが開幕戦でサウジアラビアと対戦する。抽選時に何かしらの力が働いたのかな。ロシアにとっては最高に近い相手。ここで勝つことで勢いに乗れるだろう。
B組はポルトガルとスペインが同居して一見、大変そうに思える。でも、残る2チームがモロッコ、イランということを考えれば、ポルトガルとスペインのグループリーグ突破は決まったようなもの。初戦での両国の対戦は、お互いに無理をせず引き分けを狙うかもしれないね。
混戦という意味では、むしろF組が気になる。前回王者ドイツが飛び抜けた存在でメキシコ、スウェーデン、韓国で2位を争う。三者三様のチームカラーでどこが抜け出してもおかしくないけど、やはり韓国は苦しい戦いを強いられるだろう。
そして日本はH組に入り、コロンビア、セネガル、ポーランドと同組になった。W杯優勝国のいない唯一のグループということで、組み合わせに恵まれたというポジティブな見方もあるようだ。でも、決してそんなことはない。
前回のブラジルW杯で日本が惨敗したコロンビアはハメス・ロドリゲスやクアドラードが健在。前回はケガで欠場したファルカオも復活した。ポーランドには世界屈指のストライカー、レバンドフスキがいて、彼の高い決定力を生かすべく、両サイドの選手がよく走って、どんどん仕掛けてくる。そして、セネガルにも売り出し中のマネなど、欧州の強豪クラブでプレーする選手が数多くいる。つまり、どの相手にも欧州のビッグクラブの屋台骨を支えるようなチームの顔がいるんだ。
対して、日本はどうだろう? 誰が見ても選手のキャスティングでは見劣りする。また、選手層も決して厚くない。だから、世界のサッカーメディアに「最下位は日本」と予想されても仕方がない。3戦全敗に終わっても驚かれないだろう。
日本は“弱者のサッカー”をどこまで徹底できるか
サッカーは何が起きるかわからないスポーツ。また、これから相手の主力選手がケガをするかもしれないし、今季のチャンピオンズリーグでバイエルン・ミュンヘンが決勝まで勝ち進めば、ハメス・ロドリゲスやレバンドフスキが疲労困憊(こんぱい)の状態でW杯を迎えるかもしれない。でも、逆に言えば、そういうことを期待するしかないほど厳しい組に入ったということだ。
そもそも日本は第4ポットの国。惨敗したブラジルW杯から4年たって、長足の進歩を遂げたわけでもない。結局はどこの組に入っても、ラクな試合などないし、最下位候補に挙げられてしまう。それが第4ポットの国の立ち位置だ。
だからこそ相手をリスペクトして、組織的に守って、守って、カウンターから数少ないチャンスをつくって、それをモノにする“弱者のサッカー”をどこまで徹底できるか。そこにかかってくる。
ブラジルW杯前、選手たちの口からは優勝という言葉も出ていたけど、前回も今回も日本は先のことを考えられる立場ではない。幸いにも今回は選手たちもそれを理解しているはず。まずは、一試合でも負けたら終わりのトーナメントと思って、初戦のコロンビア戦にすべてをかけてほしい。
(構成/渡辺達也)