入団会見では二刀流挑戦を表明し、ベーブ・ルースに「少しずつ近づいていきたい」と語った大谷

エンゼルスへの入団が正式に決まった大谷翔平。代名詞でもある「二刀流」はすでにアメリカでも有名で、入団会見では「日本のベーブ・ルース」と紹介される場面も…。果たして、“日本のルース”は本家を超えることができるか?

■打者としてはゴジラ松井以上

「まだまだ完成した選手ではないですし、皆さんの応援で僕を成長させてもらい、僕もそれに応えたい」

12月10日、エンゼルスの入団会見でそう言った大谷翔平。だが周囲の評価は早くも主力クラスだ。

エンゼルスは今季、ア・リーグ西地区で2位。近年の低迷から脱しつつあるものの、ヤンキースやドジャースといった強豪に比べ、投打に課題は少なくない。

「エンゼルスの今季の戦力状況からすれば、大谷は投手なら先発2、3番手。打者でも5、6番に座っておかしくないレベルの選手で、実際に球団もそう評価しています」(スポーツ紙メジャー担当記者)

で、肝心の二刀流はというと、エンゼルスも最大限の対応でこれを実現させようとしている。エップラーGMが「来季、まず外野では(大谷を)使わない」と、打者ではDH起用に限定する考えを明言。1年目は過度な負担を与えることなく、じっくり育てていく方針を示した。

「今季、DHは主砲のプホルス(37歳)が起用されましたが、来季は大谷との併用が濃厚です。大谷が投げる日と休養日はプホルスがDHに入り、それ以外は大谷がDHに入るとみられています」

プホルスといえばメジャー17年で2968安打、614本塁打を誇る“メジャー史に残るスラッガー”。そんな超大物とデビューから併用とは、やはり大谷、規格外の新人だ。

打者として週に3試合ほどDHで出場した仮定とすると、シーズンでおよそ300打席が与えられることになる。果たして、どのくらいの数字を残せるだろうか? 野球評論家の伊勢孝夫氏が言う。

「メジャーでは低めに落ちる球を決め球に、ツーシームや145キロ以上のカットボールを配する投手が多い。その点、大谷はリーチもあるので、低めの球には対応できると思います。よくメジャーの投手の球質は“動く重い球〟”といわれますが、大谷ならば力負けすることもないでしょう。もし、彼が打者に専念し、打率を気にせずホームランだけ狙っていいとしたら、20本は打つと思います。ただ、二刀流となると、体力的にも打席数的にもそこまではちょっと厳しいかもしれない」

それでも伊勢氏は打者としての大谷をゴジラ松井秀喜以上と評する。

「松井はメジャーでは日本時代ほど活躍できませんでしたが、彼の場合は技術的に打てるポイントが限られたスイングだった。その点、大谷は少々ボール気味の球でも叩ける手首の強さと柔らかさがある。それでいて逆方向にも放り込めるパワーを兼ね備えています。よく“メジャーで大谷クラスのパワーある打者はいくらでもいる”といわれますが、それでも彼のキッチリとボールをとらえて運ぶ能力は別格。打者・大谷はメジャーに行っても頭ひとつ抜けた存在といえると思います」

●この続き、明日配信予定の後編では、エンゼルスに決めた最大の要因?ともいえる投手での起用法と可能性について検証!

(撮影/小池義弘)