海外挑戦2年目を迎え、欧州組の中でもひときわ安定して出場機会をつかんでいる小林祐希。
ロシアW杯の日本代表メンバー入りに向けては当落線上のひとりかもしれないが、周囲に流されない独特な発想を持つレフティは、大舞台で何かやってくれそうな気配を感じさせる。
彼は“ピッチ外”でも規格外だ。昨年、日本とオランダで会社を立ち上げて日本米の販売を始めたほか、この1月にはアムステルダムで美容サロンを開店させたという。
そんな“日本サッカー界の異端児”に、オランダでの1年半、日本代表でのプレー、起業家としての目標を聞いた。
■最近は人間的に器が大きくなった
小林が所属するオランダリーグのヘーレンフェーンはシーズン前半戦を終えて6勝5分け7敗の9位。小林は主にインサイドハーフとして全18試合に出場(フル出場は13試合)、1ゴールを挙げている。
―「W杯から逆算すると、このタイミングしかない」と考え、一昨年の夏にオランダへ渡りましたが、2年目を迎えた今季の自己評価は?
小林 日本でどう思われているかはわからないですけど、去年より全然いいですよ。自分にボールが集まってくるようになりましたし。得点は昨季が1点で、今季もここまで1点ですが、それでも試合には出続けている。それは、安定したプレーを見せてきたからだと思っています。これでアシストやゴールがついてくれば、言うことない。悪い意味じゃなく、(オランダの地方クラブである)ヘーレンフェーンで王様になれないようだと、次のステップはないですから。
―ポジションは4-3-3のインサイドハーフが基本ながら、最近は右の攻撃的な位置で起用されることも。これについてはどう感じている?
小林 ひとつ前で起用されてみて、オレ自身、改めて前のポジションのほうがしっくりくる部分はありました。ただ、前で起用されたのはチームにケガ人が出たため。どのポジションでプレーするかは周りの選手やチームとの相性もあるし、受け入れないといけないこともある。プロとしてはこだわりも必要だけど、時には割り切りも必要です。
オランダに行ったことだけが理由ではないですが、最近は人間的に器が大きくなったというか、いろいろなことをうまく消化できるようになりました。本当に重要な選手はどんなポジションでもチームに貢献できる。若いときはこだわりを前面に出していましたが、実はオレ、要求を受け入れながら自分のよさを出すのもうまいんですよ。
常に向上し続けているのは間違いない
―オランダに渡って、一番変わったのはメンタル?
小林 海外に行ったからといって、何かを急に変えるのは意外と難しい。メンタル面が劇的に変わったとは思わないですが、常に向上し続けているのは間違いないです。それから、オランダに行って体の大きい選手との駆け引きに慣れたというのもあります。
強いて言えば、自分のメンタルや体のことがわかってきて、自分の持っているものを最大限に出せる準備の仕方がわかってきた。元々、緊張しない性格ですが、どんな試合でも落ち着いてプレーできるようになってきました。
(取材・文/栗原正夫 撮影/山上徳幸)