藤浪は昨季、前足を上げた後の体重移動がスムーズにいかず制球難に苦しんだ。カーショウを間近で見てヒントを発見できるか? ※写真はイメージです。

「自分というよりカーショウからいろいろ盗んで欲しいと思いまして」

1月4日、ダルビッシュ有はこうツイートした。阪神の悩める右腕・藤浪晋太郎と一緒に自主トレを行なう、という報道の真偽をファンから問われての回答だ。

スポーツ紙デスクは、藤浪の現状をこう語る。

「昨季、藤浪はいうなれば“突発性ノーコン病”に陥ってしまっていた。ブルペンでは良くても、試合で突然制球を乱して自滅してしまう。結果、2軍暮らしが長引き、わずか3勝に終わりました。メンタル面の問題か、いやイップスでは…など様々な指摘がありましたが、秋季キャンプでも改善傾向にあるとは聞きませんでした」

そんな藤浪がわらにもすがる思いで渡米し参加するのは、ダルビッシュが昨季後半に在籍したドジャースの大エース、クレイトン・カーショウとの合同自主トレ。メジャーにおける投手の最高の栄冠、サイ・ヤング賞に3度も輝いた左腕から、藤浪は復活のきっかけを見いだせるだろうか?

ある球団の投手コーチは、「他球団の選手にコメントするのは微妙だが…」と前置きしつつ、こう話してくれた。

「藤浪がカーショウの投球フォームを間近で見て“ヒント”を発見できれば、制球難解決にもつながると思いますよ。もしダルビッシュがそれを狙って藤浪とカーショウを引き合わせるなら、さすがとしか言いようがない」

どういうことか?

「彼の制球難の原因はメンタルなどではなく、明らかにフォームの問題。長身で腕が長い投手にありがちな、体重移動がスムーズにできないという点に尽きます。なかなかバランスが取れないから、昨季は本人もやけに丁寧に投げようとしてしまい、かえってリズムを崩していました」

では、カーショウはその体重移動がうまいと?

「普通の投手は軸足と逆の前足を上げた後、捕手の方向に身長分近く真っすぐ踏み出し、腕を振る。ところがカーショウは、足を上げた後すぐに前方にステップせず、地面すれすれまで真っすぐ足を下ろしてから、グッと捕手のほうに踏み出していく。三塁側から見れば“L字型”を描くような、メジャーでも独特のスタイルなんです。藤浪がもしカーショウのようなスタイルをマスターできれば、スムーズな体重移動ができ、腕の振りも自然と連動し、ひいては制球力も安定するでしょう」

もちろん、フォーム修正はプロの投手にとって“大手術”。しかしカーショウほどの投手を見て学び、助言も受けられれば、藤浪も納得して“手術”に挑めるはずだ。

2月1日から始まる春季キャンプでは、藤浪の左足に注目してみるのも面白いかもしれない。