「大谷翔平を獲得する大本命はヤンキース」「カブスはダルビッシュ有の獲得を試みている」
いずれも、このオフにメジャーでの日本人選手の動向を報じたあるウェブサイトの記事内容だ(大谷は移籍先決定前)。いや、どこにでもある記事じゃん…と言うなかれ。実はこれ、報道機関ではなく、MLBの公式サイトに掲載されたオリジナル記事なのだ。
ほかにも大物のFA交渉の過程を暴いたり、移籍スクープを飛ばすなど、とても「公式」とは思えない書きっぷり。メジャーの事情に詳しいスポーツ紙デスクはこう説明する。
「MLBは宣伝戦略の一環として、全30球団に専属記者をつけ、独立したニュース部門を運営しています。本部には編集局があり、編集長もいて、決してなあなあではなく、読者にとって必要と思えば球団にマイナスなネタも書く。ほかのメディアが好き勝手に書き散らして情報が氾濫するなか、信頼性という点では頭ひとつ抜けていますね」
情報源は球団周辺に加え、やはり代理人が多いという。
「交渉を有利に進めたいからと、交渉中の内容を代理人があえてリークして書いてもらうことも少なくない。このへんの“エグさ”は日本の比ではありません。それでもトラブルにならないのは、報道の権利が徹底的に認められているアメリカならではですね」
日本のマスコミの記者たちも、MLB公式サイトで特に信頼できる記者のツイッターをフォローし、ネタ元にしているというが、実は日本人選手に関する情報や動向予想の精度は今ひとつなのだとか。
「アメリカでは、選手は年俸額や契約年数で移籍を決めるというのが常識。ところが日本人選手の場合、えてして奥さんの影響力が強く、『西海岸がいい』『子供が通いやすい日本人学校がある』といった点を重視しがちです。でも、アメリカ人の記者たちはそこまで調べないですから(笑)」
とにかく、ファンにとっては面白い。NPBも導入を!