日本勢のメダル獲得で平昌オリンピックが盛り上がる中、同じく大きなイベント、サッカーW杯も開催まで4ヵ月を切った。大手旅行代理店のツアーを利用する予定の観戦者も多いと思うが、より特別な思い出を残せる「サポ村」(サポーター村を作る会)を知っているだろうか。
「発足したきっかけは南アフリカ大会の時です。どのツアーも高いけれど、個人で行くには場所柄、不安だということで、大手旅行代理店に勤めていた代表が『サポーターがサポーターのための安くて安全なツアー』を作ろうと始まったんです」
そう言うのは南アフリカ大会では、ユーザーとしてサポ村に参加し、ブラジル大会から運営として関わる副村長の堀内文雄氏。4年に一度とはいえ、海外観戦の費用は大きな出費。安ければ安いほどありがたい。
その点、サポ村ではこれまで大手旅行代理店の観戦ツアーと比較して10~20万円安い価格で設定しているという。今回のロシア大会でいえば、Aコース(コロンビア、セネガル戦観戦8日間)が30万円、Bコース(セネガル、ポーランド戦観戦8日間)が40万円、Cコース(予選3試合観戦13日間)が55万円に設定されている。安価だが、会場までのバスが用意され、ホテルも基本は相部屋だが三ツ星クラスと快適な環境だ。(※いずれも現地発着ツアーでロシアまでの航空券は別)
「僕らのツアーは自分たちで人を集めて旅行会社に頼む形です。大人数をそろえたり、前金の支払いを工夫しているので価格は抑えられるんですが、その分、キャンセル規定が厳しくなってしまうので、『覚悟ができたら申し込んでください』という感じで受け付けています」
さらに、料金面以外にもメリットはあるという。それは、サポーターの団結だ。事前に国内で説明会や決起会を行なったり、現地の人を招いて日常会話などのレクチャーも。またSNSのグループで情報交換を行なうなど、一緒に行くメンバーと交流を図ることで、観戦ツアー前から仲良くなりつつ、モチベーションを上げられるのだ。
当然、そうした交流は現地でも行なっているが、それが意外な形で脚光を浴びたことも。ブラジル大会で話題になった「観戦後のごみ拾い」だ。コートジボワール戦の終了後、青いゴミ袋を持った日本人サポーターたちが周囲のゴミを片付ける姿は、美談として世界中で報道された。そこに映し出されていたのが「サポ村」などのメンバーだった。
「僕らは、試合前日に前夜祭を行なっていて、集まった日本人や現地の人たちと盛り上がったり、応援用のグッズを用意したりしているんです。そのひとつが、日本のサポーターだと目立つようにと配ったあの青いゴミ袋。だから、ゴミ拾いは二次的なものだったんです(笑)」
他にも現地のサッカーファンと交流イベントを行なったり、さらにサポ村メンバー同士で他国の試合を観戦したりとオプションも充実している。また、サポ村に参加することで、現地でのトラブルを回避できるメリットもあると堀内氏は言う。
「南アフリカ大会でヨハネスブルクに宿泊していたんですが、街が“リアル北斗の拳”のような雰囲気なんです。交差点にたむろしている現地人が追いかけてきたり、お店の前には警備員が立っていて、お店によってはお金の支払いも金網越し。ある程度のグループで行動しないと危ないんですよね。ブラジルでも喧嘩を見かけたり、治安に不安があるところに少人数で行くのは、やはりリスクが大きいんですよ」
今回のロシアは治安面での不安は過去2大会に比べ少ないとはいうものの、会場が1千km以上離れているところも…。移動の苦労やロシアの文化、そして言葉などの負担を減らすため、今回も通訳も同行しての“サポ村”結成となったのだ。
■初の独自“チャーター機”で弾丸参戦も!
4年に一度の大舞台。「観に行きたいけれど、仕事は休めないな…」という人も中にはいるはず。そんな人に新たなプランの朗報も! 実は社会人でも1日会社を休むだけで、現地観戦ができるのだ。
「2戦目のセネガル戦を観戦できる1泊3日のツアーを用意しました! キックオフが現地時間の24日20時。その日は日曜日なので、前日の朝に日本を発って、宿泊してから観戦し、深夜の飛行機で25日の月曜日に帰国できます。チャーター便なので、最小催行人数120名が集まればですが、月曜日に有給を取れば、現地観戦が可能なんですよ!」
チャーター便ツアーの価格は40万円(ビジネスクラス利用は50万円)。航空券も含めた金額なので、ツアーコースに比べれば大きな金額に見えるかもしれないが、それでも長期休暇を取るよりもハードルはかなり低い。
ちなみにセネガルは強豪ではあるものの、日本と同じ予選グループの他の2ヵ国よりFIFAランキングも低めだ。日本の勝利を現地で味わう可能性は高いかも…。“弾丸”W杯観戦含め、参加検討してみては?
■サポーター村を作る会 https://sapomura.com 2009年、代表・志賀洋が『「安く、楽しく、安全な」ツアーを作ろう!』と設立。W杯南アフリカ大会で183名、ブラジル大会で268名が参加。今年6月のロシア大会では、3月2日(金)まで第二次会員&参加者を募集中。詳細は公式HPにて