村井チェアマンの前途は多難だと語るセルジオ越後氏。 村井チェアマンの前途は多難だと語るセルジオ越後氏。

3月に任期満了となる、Jリーグの村井満(みつる)チェアマンの再任が内定した。

チェアマンの任期は1期2年。2期4年で退任する人が続いたなかで、3期目に入る村井体制は川淵(三郎)さん(1991~2002年)以来の長期政権になる。選挙や競争もないままの再任は、プロの組織としていかがなものかと思うけど、現状、彼以外にこれといった候補者がいなかったということだろう。

村井チェアマンは初めてサッカー界以外からチェアマンに抜擢(ばってき)された人。14年に現職に就く以前は、リクルートの関連会社の社長などを務めていた。そして、これまでの最大の功績といえば、16年に英動画配信大手パフォーム・グループと10年約2100億円の大型放映権契約を結んだこと。15年に2ステージ制を復活(2シーズンで廃止)させて物議を醸したこともあったけど、財政面で苦しむクラブが多いなか、そのビジネス的な手腕を評価されたようだ。

個人的には、彼と何度か食事やゴルフをしたことがあるけど、"ちゃんと仕事をしたことがある人"という印象。誰とは言わないけど、サッカー界のお偉方の中には、本音で厳しいことも言う僕のことを煙たがって拒絶するだけの人もいる。でも、村井チェアマンはオープンな性格で、必要と思えば僕にアドバイスを求めてくることもある。また、それが厳しい内容であっても、話を聞く耳を持っている。そうしたビジネスマン的な感覚は歴代チェアマンにはなかったものだと思う。

ただし、彼の前途は多難だ。

Jリーグに魅力を感じてもらえなくなっている

Jリーグは今年で25周年の記念すべきシーズンなのに、開幕節もメディアの扱いは小さいものだった。平昌五輪をやっていたから仕方がないといってもなんの慰めにもならない。五輪があろうとなかろうと、メディアのサッカーへの関心は薄まっているのが現実だ。スポーツ紙の記事は以前よりも少なくなり、テレビのスポーツニュースでもあまり取り上げられず、サッカー番組もどんどん深夜の遅い時間帯に追いやられている。

かつて、サッカーをする子供たちに将来の夢を聞くと、「Jリーガー」と答えが返ってくる時代もあった。でも、今はみんな「海外でプレーしたい」と言う。レベルの差はもちろん、お金や環境なども含めて、Jリーグに魅力を感じてもらえなくなっているんだ。

もし6月のロシアW杯で、日本代表がふがいない結果に終わったら、サッカー人気はさらに落ち込むだろうし、当然、Jリーグにも大きな影響が出てくる。

だからこそ、村井チェアマンには"部外者"だからこそのドラスティックな改革を行なってもらいたい。個人的には、以前から言っていることだけど、チーム数が18と増えすぎて大味な試合が増えたJ1をなんとかしてくれることを願っている。トップリーグのチーム数を減らすわけだから、強烈な反対意見も出てくるとは思う。でも、Jリーグ、そして日本サッカーの未来を考えれば避けては通れないこと。

日本代表の結果に対する責任は当然、日本サッカー協会にあるわけだけど、選手を育てるのはJリーグだ。Jリーグがレベルアップしない限り、選手は育たないし、代表も強くならない。そもそも代表チームを強くしたいという思いから生まれたのがJリーグだ。村井チェアマンにはそのことを理解して改革に取り組んでほしい。

(構成/渡辺達也)