スノーボード男子ハーフパイプで頂点を争った平野(左)とホワイト(中央)。東京五輪のスケートボードで、夏季五輪のメダルも争うのか。

平昌五輪6日目の2月14日、スノーボード男子ハーフパイプの決勝が行なわれ、日本大学1年生で19歳の平野歩夢(あゆむ)が、2大会連続となる銀メダルを獲得した。

表彰台の頂上も見えていたが、“絶対王者”ショーン・ホワイト(アメリカ)が最後の最後に意地のランで逆転。五輪で3度目の優勝を果たした31歳のホワイトは、競技後に「とても大事な友達に感謝したい。アユムだ。最終的にはどちらが金メダルかわからなかった」とライバルを称賛し、2022年の北京五輪への出場へも意欲を示した。

リベンジのチャンスは4年後か…と思われたが、2020年に開催される東京五輪の「スケートボード」で、ふたりの再戦が実現する可能性が浮上している。

東京五輪から正式種目に採用された同種目は、技の体重移動などがスノーボードと似ており、両種目で活躍する選手は多い。ほかならぬホワイトも、07年夏のXゲームで優勝するなど第一線で活躍するプロ選手で、東京五輪に対しては「難しい決断だが、練習すれば十分にできる」と発言している。

一方、「(東京五輪は)可能性があればということで考えたい」と語った平野も、幼少期からスケートボードに親しんできた。日本スケートボーディング連盟副代表理事でもある父が、地元・新潟の実家でスケートボード場を運営しており、そこでスキルを高めた。平野がスノーボードを始めるきっかけとなった3歳年上の兄・英樹(えいじゅ)は、16年からスケートボードに絞って東京五輪を目指しているため、兄弟そろっての出場もありえる。

五輪のスケートボードには、街中の階段や縁石、斜面などを模したコースでトリック(技)を競う「ストリート」と、すり鉢状のボウルを組み合わせたコースでトリックを行なう「パーク」がある。平野がどちらを選択するかはわからないが、東京五輪に出場するためには、20年の春に行なわれる予定の代表選考会を勝ち抜かなければならない。

出場選手枠(何枠になるかは未定)を争うのは、13年にワールドカップを制するなど「日本スケボー界の第一人者」として知られる瀬尻稜(せじり・りょう、21歳)、16年の国内ランキング1位に輝いた池田大だい亮すけ(17歳)といった“猛者”たちが相手となる。国際大会での実績がない平野が出場枠を獲得するのは容易ではない。しかも準備期間は約2年しかなく、平野本人も「時間のないなかでハードなトレーニングになる」と自覚している。

だが、練習環境は整っている。17年4月には、日大のスポーツ科学部がある東京・三軒茶屋キャンパスに、高さ約5mのスケートボードのバーチカルランプ(ハーフパイプのような傾斜が急な壁)が完成した。これは平野が入学に合わせて大学側へリクエストしたもので、スノーボードのシーズンが終われば、スキルを存分に磨くことができるだろう。

一部では、日本ローラースポーツ連盟が今年5月に新潟で開催を予定している「パーク」の第1回日本選手権に平野の参戦を打診しているとも報じられた。仮に出場することが決まれば、注目度が増すことは必至。アメリカのライバルを含め、スケートボード界の動向から目が離せない。

(写真/JMPA)