いよいよ春のクラシックシーズン到来! とはいえ、今年の桜花賞はグリグリの本命馬が登場で“銀行レース”!?
だが、それでは面白くないと穴党で鳴らす日刊スポーツの木南(きなみ)友輔記者、スポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者、フリーライターの土屋真光(まさみつ)氏が美浦(みほ)某所に集合。
とっておきの穴馬を伝授する!
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土屋 今回、編集部からは「高配当をもたらすお宝ホースを探してくれ!」と言われてますが、桜花賞はカタそうだなぁ…。昨年暮れの阪神JFを制したラッキーライラックは、前哨(ぜんしょう)戦のチューリップ賞もまったく欠点の見られない競馬で完勝。しかも、2、3着馬は阪神JFの2、3着が入れ替わっただけと、世代の勢力図にも異変なし。
木南 この馬、新馬戦のときに、石橋脩(しゅう)ジョッキーが「えっ、なんでそんなに!?」と思うくらい、最後の直線で後ろをふり返っていたんです。後で聞いたら、本人がエージェントに「めっちゃ強い」と言ってたそうなんです。
小田 近年の桜花賞の1番人気の中で一番死角がないですよね。
土屋 ただ、去年のソウルスターリングも桜花賞まで4戦4勝ながら単勝140円の断然人気で3着に敗退しました。強いて挙げるなら、どんな死角があるでしょう?
木南 ラッキーライラックが関東馬だったら黙って消しなんですがね。何しろルージュバック、メジャーエンブレム、ソウルスターリングとここ3年続けて、人気一本かぶりの関東馬がここで負けてます。それにチューリップ賞の内容だけなら、去年のソウルスターリングのほうが上かなと。
小田 前走は100%の仕上げではないにせよ、上積みがどこまであるのか疑問符がつく走りではありました。
土屋 特に今年の阪神競馬場の馬場は時計が速くて、力以上のものを出しやすいですからね。
木南 厩舎(きゅうしゃ)は前哨戦の仕上げで送り出していても、馬はその気になって力を出し切っちゃってる可能性はありますね。
土屋 この世代が初年度のオルフェーヴル産駒は当たりとハズレの差が大きく、ロックディスタウンのように当たりと思われていた馬でさえ、突然ダメになってしまうケースもある。父譲りの荒い気性がここで暴発しないとも限りません。
ラッキーライラック(父・オルフェーヴル)
無敗の桜花賞馬は14年も出ていない
木南 あとはフットワークが大きいので、メジャーエンブレムのときと同じように包まれる恐れもある。特に内枠を引いたら危ない。
小田 確かにこれまでがあまりにもお行儀のいい競馬ばかり。桜花賞は逆にもっとアバウトな競馬をする馬のほうが向いてると思います。それに牝馬(ひんば)は特に敗戦で得ることや、接戦での強さが大事になりますからね。
木南 無敗の桜花賞馬は04年のダンスインザムードを最後に、14年も出ていません。
土屋 打倒ラッキーは武豊騎手騎乗のマウレアが面白いかなと。武騎手は(13年の)凱旋門賞でキズナに騎乗して、ラッキーライラックの父・オルフェーヴルに対してガチで外から蓋(ふた)をしにいきましたが、まさにあのイメージです。ただ、クイーンCで賞金を加算できず、チューリップ賞をよけいに使ったのは誤算ではありますが。
小田 私はもともとリリーノーブルを本命にしようと思っていました。成長力のあるルーラーシップ産駒ですし、チューリップ賞は少しテンションが高すぎたので、一度使ったことでガス抜きができていれば。
木南 やはり桜花賞の穴セオリーはチューリップ賞の負け組から、ですね。マウレアは小柄な分、(13年に)桜花賞を勝った全姉のアユサンよりバランスがいいと思います。3着のリリーノーブルは阪神JFで本命にしてたんです(2着)。新馬戦を勝った後、鞍(くら)を外すときに馬がケロッとしていましたし、白菊賞では騎乗停止で同馬に乗れなくなってしまった藤岡佑介騎手が「GⅠを狙える馬なのに」と悔しがっていたのが印象的でした。
土屋 あと、チューリップ賞組の評価が高いときこそ、評価の低いフィリーズレビュー組やアネモネステークス組を狙いたい。リバティハイツやデルニエオール、ハーレムラインあたりがきたらデカい!
リバティハイツ
小田 デルニエオールは全兄があのオルフェーヴル。本番で一変して不思議でない血統ですね。
木南 僕はこれまでのセオリーにないローテで本番に向かうアーモンドアイとプリモシーン。陣営からは一戦必勝という雰囲気を感じます。
土屋 最後にGⅠといえばミルコ・デムーロ騎手の騎乗馬(レッドレグナント)にも要注意です。GⅠでの、空気を読まない一発にかけては天下一品ですからね(笑)。
(写真/JRA)