愛らしい顔立ちと果敢なファイトで注目を集めている中野たむ

十数団体が群雄割拠し、個性あふれる選手たちがしのぎを削る女子プロレス界。昨年から人気再燃の気配が漂う中、有望な若手選手を紹介!

アイドル、女優からプロレスラーに転身。愛らしい顔立ちと果敢なファイトで注目を集めている中野たむ。汗と涙にまみれ、決死の覚悟で戦う姿は「中野たむ劇場」とも呼ばれて支持されている。

―元々はアイドル、女優、ダンサーとして活動していたそうですね。それがどうして女子プロレスの世界へ?

中野 舞台の参考にと誘われた試合ですごく感動したんです。10分間の試合で、2本分の映画を観た感覚があって。こんな世界があったのかって思いました。気付いたら練習生になっていました。

―女子プロレスラーとしての転機はいつ?

中野 昨年の5月、ミス・モンゴルさんに電流爆破バットで爆破されて、救急搬送された時ですね。

―大仁田厚さんたちの電流爆破バットタッグがあり、試合後、遺恨のあったミス・モンゴルさんがセコンドをしてた中野さんにバットを手に襲いかかってきたんですよね。

中野 はい。あの時、周りからもうプロレス辞めて、女優を頑張ったほうがいいと言われました。でも、やられたまま引き下がるわけにいかない。あそこでプロレスラーとしてやる覚悟を決めました。

―言い換えれば、女優などに戻る道を絶ったと。その後もミスモンゴルさんと有刺鉄線や電流爆破など数度デスマッチを行なっています。デスマッチが怖くないんですか?

中野 メチャクチャ怖いです。正直、今日死ぬのかなって思ったこともあります。でも好きなプロレスをやる以上、立ち止まりたくない、常に一歩を踏み出し続けたいんです。

―昨年8月以降はスターダムに参戦。その死をも辞さない、果敢なファイトスタイルが支持され、試合後の握手会でも時間制限ができるなど今やトップの人気を誇ります。ファンの間では中野さんはよく泣くと言われてますが…。

中野 そうですね。1日、1回は泣きます。試合後に号泣することもしょっ中。いつも気を張ってるからか、すぐ感情に出ちゃうんです。いや、でも最近、ファンにはもう泣かないって言ったんで(笑)。

―尊敬する人物は大仁田厚さんだそうですが、感情を爆発させて壮絶な試合に臨む姿勢は近いものがありますね。

中野 最近、「中野たむ劇場」ってよく言われます。大仁田さんも「大仁田劇場」って呼ばれてましたよね。あんな風に存在そのものがひとつのジャンルとしても認めてもらえるくらい突き抜けたプロレスラーになりたいですね。

―最後に今後の目標を教えてください。

中野 プロレスって、試合の中に音楽を始め、いろんな要素もあるし、エンタメの最高峰だと思うんです。でも観に行ったことのない人も多いと思うので、日本中の人がTVや映画を観る感覚でも試合に観に来てくれたら。そのために自分もまだまだ熱い試合を観せていきたいと思いますね。

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(取材・文/明知真理子 撮影/荻原大志)

■中野たむ(なかの・たむ)3月22日生まれ 愛知県出身 身長157㎝ 得意技=中国武術、バックスピンキック○かつては女優、アイドルとして活動。現在は、スターダム正規軍の一員としてヒール軍団・大江戸隊と抗争を繰り広げる