「正しいヘッスラフォーム」は足はそろえず、顔は上げて飛び込む。※写真はイメージです。

実はヘッドスライディングのほうが早いーー衝撃の新説の登場だ。

少年野球からプロまで、「一塁には滑り込むより駆け抜けたほうが早い」が長年の定説。高校球児が一塁に懸命に滑り込む定番のシーンも「気持ちの表れ」という精神論的な解釈が一般的だった。

ところが、立命館大学スポーツ健康科学部の岡本直輝教授らが実証実験を行なったところ、同大学準硬式野球部員15人のうち12人までもが、駆け抜けるよりもヘッスラで好タイムが出たというのだ。実験の全体平均でヘッスラは駆け抜けるより0.04秒早く一塁に到達。距離換算で30cmから40cmの差だという。

ヘッスラといえばこの人。1990年代に阪神の外野手として活躍した“ミスターヘッスラ”こと野球評論家の亀山努(つとむ)氏は感慨深そうに語る。

「正直、ホッとしてます(笑)。当時は『駆け抜けたほうが早いのに』とか『ケガするぞ』と言われ続けたので…。僕も口では『気持ちの表現だ』と言っていましたが、実は、うまく滑り込む技術があればヘッスラのほうが早いという感覚はあったんです」

亀山氏が挙げるヘッスラの基本4ヵ条は以下のとおり。

●両足をそろえて飛び込むな! →スピードが落ちる。

●飛び込むのはベースに近い位置から! →滑る距離が長いと減速する。滑り始めてすぐにベース到着、そのまま滑ってベースがおなかの下に来たあたりで止まるのが理想。

●ベースに手のひらのつけ根を押し当てるように突っ込め! →指先から行くと突き指などのケガの危険性が高い。

●顔を上げ、上を見るような感覚で飛び込め! →水泳の飛び込みのように顔を下げると地面にこすれてズルムケに。

では亀山さん、全国のヘッスラプレーヤーたちに激励メッセージをお願いします!

「(しばらく考えて)いや、あの…正直、ヘッスラはやらないほうがいいと思います」

えええっ!?

「やはり重大なケガの危険が伴いますから。僕はお客さんを楽しませることも重要なプロ野球という舞台でヘッスラをやり続けましたが、やらないで済むならそれに越したことはない。全国の野球選手の皆さんは、ぜひヘッスラをやらなくてもいいようなクリーンヒットを打つ練習をより頑張ってほしいです」

ミスターの重い言葉。やっぱりヘッスラは禁断の果実!?