「ちょっと油断したら暴れるし、簡単に言うことは聞かない」という激しい気性は父ステイゴールド譲り。

競馬界では長くマイナーカテゴリーに分類され、なかなか日の目を見なかった障害競走が一頭のスターホースの登場で注目を集めている。

その名もオジュウチョウサン。何やらふざけた名前にも思えるが、今や競馬界においては「歴史的名ジャンパー」「救世主」としてその名を知らぬ者はいないほどの存在だ。国民的アイドルホース・キタサンブラックが引退した今、障害競走から現れたスターホースに迫る。

地味で敬遠されがちな障害競走のイメージを変えつつあるこの馬、ホントに強いんです!

■ここがスゴイ1 前人未到のジャンプ重賞8連勝

障害競走とはコース中に設置された数々の障害物を越えて、いかに早くゴールに到達するかを競うもの。その障害物には竹柵、生籬(いけがき)、水濠などがある。飛越失敗による転倒や騎手の落馬もあるスリリングなレースだ。

オジュウチョウサンが最初に障害の重賞レースを勝ったのは、2016年4月の中山グランドジャンプ(GⅠ)。ここから破竹の進撃が始まり、昨年12月の中山大障害(GⅠ)まで勝ちも勝ったり重賞8連勝(うちGⅠは4勝)。障害グレード制が導入された1999年以降の重賞最多連勝記録を樹立し、GⅠ4勝も最多記録だ。

平地競走ではテイエムオペラオーやタイキシャトル(海外遠征含む)といった歴史的名馬が重賞8連勝を記録しているが、障害レースは不確定要素が多く、年間に使えるレースも限られてくるため連勝は難しく、その価値は高い。

今週末に行なわれる中山グランドジャンプ(GⅠ)で、その連勝記録がさらに伸びるかに注目が集まっている。

■ここがスゴイ2 年度代表馬投票でキタサンの満票を阻止

昨年12月、引退レースとなった有馬記念(GⅠ)を制し、見事に有終の美を飾ったキタサンブラック。昨年だけでGⅠ4勝を挙げ、文句なしにJRA賞年度代表馬にも選出された。

だが、この投票においてキタサンブラックの満票を阻止したのがオジュウチョウサンだ。全290票中3票ではあるが、障害の競走馬に投票されたのは異例のこと。オジュウチョウサンに投票したひとりである、フリーアナウンサーの舩山陽司(ふなやま・ようじ)氏は言う。

「どう考えても年度代表馬はキタサンブラックですよ。でも、オジュウの偉業も誰かがたたえねばと思い、あえて票を投じました」

もちろん、最優秀障害馬のカテゴリーではほぼ満票で選出されたほか、競馬月刊誌『優駿』にて読者が選ぶ「優駿大賞」でも「ホース・オブ・ザ・イヤー」部門で、キタサンブラックに次ぐ2位に入った。もはや平地競走馬をも上回る人気と実力の持ち主なのだ。

◆今週末にはいよいよ中山グランドジャンプが開催。その前に、まだある知っておきたいオジュウチョウサンのスゴイところを『週刊プレイボーイ』17号(4月9日発売)「オジュウチョウサンはこんなにスゴイ!」にてお読みください!

(取材・文/土屋真光)