トヨタ TS050 HYBRID。昨年から大きな変更点はないトヨタ勢。新たなレギュレーションとアロンソ加入は、果たして吉と出るか、凶と出るか。 トヨタ TS050 HYBRID。昨年から大きな変更点はないトヨタ勢。新たなレギュレーションとアロンソ加入は、果たして吉と出るか、凶と出るか。

WEC第2戦の舞台となるル・マン24時間レース(フランス、6月16日~)。

世界最高峰の耐久レースに懸けるトヨタ“7年目の命運”、そして近年盛り上がりを見せるGTEクラスとは? 

今年の見どころに迫った!

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これまで、トヨタと優勝争いを繰り広げるなどして、ル・マンを盛り上げてきた王者ポルシェが、昨年限りでLMPクラスから撤退した。その前年には、同じく強豪として戦ってきたアウディが撤退しており、活躍の場をフォーミュラEに移している。結局、果敢に戦いを挑み続けてきたトヨタは、一度も勝つことがないまま、LMPクラス唯一のメーカー勢として、今年のル・マンを走ることに…。

では、今年は「相手のいないトヨタがぶっちぎりで初優勝!」といった、寒~いシナリオになってしまうのだろうか。WECを世界各国で取材し続けるモータースポーツジャーナリストの世良耕太氏が解説する。

「確かに、今年からトヨタの強敵はいなくなり、勢力図は変わりました。しかし、今年もトヨタは簡単に優勝できないと思いますよ。“トヨタ1強”となったことを受けて、今年からLMPクラスのレギュレーションが改定され、プライベーター勢の燃料流量規制が緩和されることになったんです。

元より、ハイブリッドが義務づけられているメーカー勢よりも、エンジン車のプライベーター勢はより多くのガソリンを使うことができました。今回の改定で、それがさらに使えるようになったわけです。最大燃料流量が増えることは、馬力の上昇、つまり最高速の伸びにつながります」

最高速がものをいうセクションは、主にストレート。国際サーキットであれば、ストレートはせいぜい1km~1.5kmと短いが、全周が約13.6kmにも及ぶル・マンのサルトサーキットには、ユノディエールと呼ばれる約6kmものストレートが存在する(途中シケインで分割されてはいるが)。ここで勝負が変わってくる可能性があるというのだ。

「ハイブリッドのトヨタは、モーターによる立ち上がりの加速はとにかく速いですが、そこからアシストがもつのはせいぜい数百m?程度。途中からはエンジンだけを使ってストレートを走らなくてはなりません。

すると、燃料流量が増えて最高速もアップしたプライベーター勢が、ストレートでトヨタを抜きにかかるかもしれないんです。ユノディエールは、ル・マンの勝負の命運を分けるといわれるほどの重要セクション。ここでのパフォーマンスは見ものですね」(世良氏)

ワークス同士の死闘はもう見られないが、“孤高のトヨタ”はプライベーター勢と盛大に火花を散らすと見ていいだろう。

◆BMW新規参戦のGTEに要注目! この続きは『週刊プレイボーイ増刊グラビアスペシャル』(4月26日発売)「今年のル・マン24時間耐久はココがアツい!」にてお読みください。

(写真/AP=アフロ)