4番・山川穂高は本塁打、打点のリーグトップを独走。昨季8月から3連続となる月間MVPに選ばれた。

開幕からいきなり8連勝。その後も貯金を伸ばし、パ・リーグ首位を走る西武の原動力は、12球団断トツの得点力(一試合平均6点超え。以下、データはすべて5月9日時点)を誇る強力打線だ。スポーツ紙デスクが言う。

「秋山翔吾の打率.357を筆頭に、リーグ打率トップ10のうち6人が西武。打点もトップ10に4人が名を連ねています。中村剛也は故障、メヒアも不振と、元本塁打王ふたりが働いていないのにこの破壊力。正直、驚異的です」

パ・リーグ某球団のスコアラーはこう解説する。

「昨季までは振り回す打者が多かったんですが、今季は狙い球を徹底して絞っている。四球も多く(リーグトップの138個)、打線が見事につながるケースが目立ちます」

この強力打線の“黒幕”は、ヤクルトでの現役時代に野村ID野球を叩き込まれ、巨人や楽天でも指導経験のある橋上秀樹コーチだという。

「昨季は野手総合コーチという曖昧(あいまい)な立場でしたが、今季は作戦コーチの肩書でデータの分析・指示に専念できている。さばけた性格で、指示も明快なので選手にも好評です。例えば捕手の炭谷銀仁朗など、昨季までは打率2割5分がやっとの選手でしたが、今季はここまで規定打席未満とはいえ3割超え。データをうまく活用できている証拠です」(前出・スコアラー)

ただし、この好調さにはもうひとつ理由があるらしい。選手たちの目の前に、意外な形で“ニンジン”がぶら下がっているというのだ。

「エースの菊池雄星は今オフ、ポスティングによるメジャー移籍が濃厚。ここで球団に入るはずの最大約22億円の移籍金、いうなれば“雄星マネー”に、選手たちは目の色を変えているようです(笑)。西武は基本的にシブチン球団ですが、今オフはバブルの可能性大。活躍すれば年俸大幅アップのチャンスというわけです」(前出・デスク)

この好調さに球団も気をよくし、打線にニックネームをつけようと思案中だという。実は、コアな野球ファンや一部スポーツ紙はすでに“山賊打線”という呼び名を使い始めているのだが…。

「山賊打線とは、元は西武の前身球団である太平洋クラブライオンズ時代の愛称。しかし、これについては『いまさら山賊なんて古くさい』『品がない』といった身もフタもない意見が球団や選手の間から出ており、新たなニックネームを公募するというアイデアも浮上しているようです」(デスク)

それはともかく、気になるのは“ニンジンの元”である菊池が肩の張りで登録抹消となったことだ。

「それほど重傷ではないものの、復帰は6月になる予定。その後の状態によってはメジャー移籍が流れる可能性もあるため、選手たちにとっては一大事ですよ(笑)」(デスク)

エース離脱に打線も気落ちして急降下、なんてことにならなきゃいいけど…。

(写真/時事通信社)