開幕前は多くの評論家がBクラス予想も、首位西武を猛追中。これぞ栗山マジック?

パ・リーグ首位の西武に僅差の2位で交流戦を迎えた日本ハム。低い下馬評を覆して健闘を続けている。

「大谷翔平(エンゼルス)、増井浩俊(オリックス)らが流出し、主砲の中田翔やレアードも本調子ではない。その上、高卒ルーキーの清宮幸太郎を“大人の事情”でしばらく起用し続けながらの2位ですからね」(スポーツ紙デスク)

投手では上沢(うわさわ)直之、新外国人のマルティネスが頑張ってはいるが、ソフトバンクや西武に比べれば戦力不足は明白。かといって、サプライズ起用といえばせいぜい大田泰示(たいし)の2番抜擢(ばってき)くらいのもの。では、強さの秘密はどこに?

「今季から導入された、審判に映像確認を求める『リクエスト制度』に秘密の一端が隠れています。5月26日までの時点で、12球団のリクエスト回数は合計129回。そのトップは日本ハムの栗山英樹監督で、17回もリクエストを行使しています。日本ハムはキャンプから敵チームのデータ―各野手の足の速さ、守備位置や肩の強さ、あるいはベースの踏み方が甘いかどうかまで、細かく分析して共有していましたから」(パ・リーグ某球団スコアラー)

つまり、どこで際どいプレーが起きるかわかるからこそ、迷いなくリクエストを行使できるのだ。結果は成功4、失敗13と高確率ではないが、栗山監督の狙いは判定を覆すことだけではないという。

「失敗を承知の上で、あえてリクエストしていることも多い印象です。栗山監督は選手の士気を重視するタイプですから、ベンチの選手たちが『今の判定は違うだろ!』と思っているときは、たとえ監督自身がそう感じていなくてもリクエストするのでしょう。

また、自軍のリリーフ投手がブルペンでの投球練習不足で時間を稼ぎたいような場面でリクエストを行使したこともありました。本人は公式に認めていませんが、あれで5分くらい試合を止められたわけですから、成否はどうあれリクエストした意味はあったでしょうね」(スコアラー)

昭和の球界には、審判への猛抗議を士気高揚や時間稼ぎに使う“名将”がいた。リクエストという新制度でそれをやってのける栗山監督は、さしずめ現代の魔術師ってとこか?