「今の子供って弱い弱いと言われますが、そもそも強くなる環境がないんですよね。だから、そういう場所を提供したかったんです」
そう語るのは先月、大阪府堺市にボクシングジムをオープンした元WBO女子世界フライ級チャンピオン、WBC同級チャンピオン(暫定)の「好川(よしかわ)菜々」こと野上菜々さん(39歳)。
野上さんは21歳でボクシングを始め、プロデビューは35歳と遅咲きながら、世界チャンピオンに上り詰め、この4月に現役を引退した。
新ジムの名前は「ディアマンテボクシングジム」。ディアマンテはスペイン語でダイヤモンドの意味だ。
「ダイヤモンドの原石を磨いて、いつかは世界に羽ばたける王者を育てたい」
日本ボクシングコミッションに承認されれば、女子プロボクサー出身で国内初のジム会長となる。女性らしい清潔感あふれるジムで、経験や年齢、性別を問わず自らの経験を伝えていくという。
「私はボクシングに夢をもらった。今度はたくさんの人たちに夢を与えていきたい」
●野上菜々
1978年生まれ、大阪府羽曳野市出身。21歳のときにボクシングを始め、全日本選手権3階級制覇。2013年、プロデビューし、16年、WBO女子世界フライ級王座獲得。17年、WBC同級暫定王座獲得。18年に現役引退。プロ通算8勝(4KO)2敗。身長164cm