規定打席不足ながら現時点でイースタン・リーグ本塁打王、フレッシュオールスターでも優秀選手賞。ポテンシャルの高さは疑いようがない

2軍では出場39試合でリーグトップの15本塁打(7月18日現在)と"無双状態"。7月12日のフレッシュオールスターでも見事な一発を放った日本ハムのゴールデンルーキー・清宮幸太郎だが、本格的な1軍復帰はいつになるのだろうか?

オールスター直前に「自分の目で見てみたい」と清宮を1軍に昇格させた栗山監督は、2試合で再び2軍降格を決断。他選手との兼ね合いによる出場機会の問題や、まだまだ1軍レベルとはいえない守備・走塁の問題もあるが、これらがクリアされたとしても、まだ合格点を出すには至らないと判断したようなのだ。

近鉄、ヤクルト、巨人などで打撃コーチを歴任した野球評論家の伊勢孝夫氏の見方もシビアだ。

「2軍での全打席を見たわけではないですが、キャンプ時から課題とされていた技術的なポイントが解消されていません。守備や走塁以前に、今の打撃の状態では、1軍の戦力になることを期待するのは難しいでしょうね」

伊勢氏の挙げる「ポイント」は、ざっくり言うと以下2点。

(1)威力のある内角の速球をはじき返せない。

(2)低めの変化球に対応することができない。

伊勢氏が続ける。

「1軍、2軍問わず、彼が仕留めているボールはほとんどがベルトより上の高さで、球速もほどほど。彼のスイングスピードとパワーなら打てて当然のボールばかりです。逆に、低めの変化球はホームランはおろか、ヒットにもできない打席が目につく。これは率直に言って技術不足です。特に、左投手の外角に逃げながら落ちていく変化球は、ボール球でも振りにいって空振りするケースが目立ちます」

2軍の投手が相手でもそうなのだから、1軍の主戦級の投手が本気で投げ込んでくるボールに対応できないことは明らか、ということだ。

しかし、そもそも清宮はそうした課題を克服するために2軍で頑張っているのではないのか? 伊勢氏は「あくまでも推測だが」と前置きしてこう指摘する。

「こうした欠点を解消するには、フォームの改造が必要です。ところが、キャンプから数ヵ月たってもフォームは変わっていない。日本ハムの首脳陣もその欠点はわかっているでしょうが、清宮にも彼なりの持論があるとすれば、現段階ではあえて放任している可能性もあります。日本ハム球団は目先の活躍にこだわらず、長期的展望で選手を育成することが多いですからね。

本人が納得するまでフォームはいじらない。とにかく今季は高校以来の今のフォームでやらせてみて、プロの厳しさを染み込ませる。球団がそうした考え方だとすれば、秋のキャンプから来季の開幕に向けてフォーム改造に取り組むことになるでしょう。いずれにしても、今季の後半戦で戦力として出てくることを期待するのは酷。チームが上位争いを繰り広げている限りは、清宮に出番を与える余裕もないですからね」

つまり、清宮の爆発は来季以降? 楽しみなような、待ちきれないような......。