「エル・ニーニョ」(神の子)の異名を取るフェルナンド・トーレス(34歳)がJにやって来たー!
その戦績は華々しい。スペイン代表として110試合出場38得点。2010年のW杯南アフリカ大会で優勝。クラブでの活躍も目覚ましく08年にプレミアリーグ(イングランド)のリヴァプールにおいて不動のCFとして躍動、12年にはチェルシーで欧州王者にも輝いている。
そんなビッグネームがなぜJリーグに? しかも現在(第16節終了)17位に低迷しているサガン鳥栖(とす)に移籍を決めたのか? 実際、トーレスには高額の年俸を提示し、熱烈なラブコールを送っていた他国の有力クラブが複数あったという。
スペイン在住のスポーツライター、山本孔一氏が指摘するのはスポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を世界で展開する英パフォームグループの存在だ。
「Jリーグと巨額の放映権契約を結び、アジア圏でのビジネス拡大を目指している同グループがトーレスの鳥栖入りを強力にプッシュ、仲介したんです」(山本氏)
欧州でのコネクションを生かし、トーレスのようなビッグネームをJリーグに移籍させれば、日本国内で視聴契約の加入者を増やすことができる。しかも、日本に行ってしまったトーレス見たさに欧州ファンの視聴も期待できる。「DAZN」にとっては一石二鳥の移籍仲介というわけだ。
日本の"おもてなし力"もトーレス鳥栖入りの決め手になったという声も。スポーツライターの小宮良之氏が言う。
「スペインサッカー界で、日本はすこぶる評判なんです。芝生など、スタジアムの整備レベルが高く、イベント開催力が際立っているだけではない。食事もおいしく、治安もよく、人々は気遣いに満ち、ホテルなどでファンからぶしつけにサインを求められることもない。
トーレスは15年のアトレティコ・マドリード(スペイン)所属時に鳥栖でプレシーズンマッチを行ない、この町や人々を肌で感じている。『DAZN』のプッシュも見逃せませんが、鳥栖そのものに魅せられて入団を決意したのでしょう」