スター軍団バルセロナの中盤に長年君臨し、スペイン代表でもW杯王者に輝いたアンドレス・イニエスタ。Jリーグ史上最強の大物選手が初登場した7月22日、ヴィッセル神戸の本拠地・ノエビアスタジアム神戸はすさまじい盛り上がりを見せた。
スタジアムに近い笠松商店街のそば店「しなの」の店主で、ヴィッセル神戸海岸線地域後援会の事務局長を務める釜須(かます)一昭氏も興奮を隠せない。
「59分にイニエスタが途中出場すると、パスを受けただけで、まるでゴールを決めたかのような大歓声。25年間ヴィッセルを見守ってきましたが、あんなの初めてです。やっと14年前のイルハンの悪夢を忘れられそうですわ(笑)」
スタジアムにいた別のサポーターもこう証言する。
「0-3の負けゲーム。普段なら罵声(ばせい)が飛び交ってもおかしくないのに、みんな最後まで必死で応援してました。帰り道でも愚痴はなく、『すごいパスやった!』『やっぱり違うな』など、イニエスタの話題ばかり。こんな負け試合、初めてですよ!」
そんなイニエスタへの期待感は、彼を連れてきた三木谷浩史オーナーへの感謝にもつながっているらしく、スタジアムのビジョンにその姿が映し出されると、女性サポーターの「三木谷さーん♪」という黄色い声援が飛び交うほど。
異様なフィーバーは神戸の街にも広がっていた。ハーバーランドのヴィッセル神戸オフィシャルショップのスタッフに近況を聞いてみると、
「イニエスタ選手のプレーヤーズシャツ(4300円)が店頭に並んだのは7月18日からで、22日の試合当日にはS、M、Lサイズが完売。残ったのはLLだけです。再入荷の予定ですが、時期は未定です」
デビュー戦のチケットを入手できなかったサポーターが集まり、盛り上がったという三宮のスポーツバー「スポルテリア」では、早くも"イニエスタメニュー"が登場。
「うちではイニエスタが神戸に来る前からイニエスタワイン(ボトル3800円)を販売していましたが、最近は皆さんが飲むので白は品切れ。オリーブの輪切りをふたつ並べて背番号の8をあしらった、新発売の『イニエスタ・ピンチョス』(パンの上におかずをのせたスペインの軽食、580円)も好評です!」(店員)
ところで、前出のそば店「しなの」ではイニエスタメニューはないのか? 釜須店主は笑いながらこう言う。
「まずは既成事実をつくろうかと思ってます。チームの練習終わりにそばの差し入れをしたら、当然イニエスタ選手も食べますわな。そこで『おいしい』と言ってくれたら、『イニエスタ(も食べた)そば』をメニューにしようかと(笑)。それと、うちでは選手が試合後に食べるおにぎりなどの軽食も用意しているので、『イニエスタ(が食べたかもしれない)おにぎり』もできますね」
みんなめちゃくちゃ楽しそう。経済効果、プライスレス。これなら年俸30億円も高くない!?