ケイスケ・ホンダは、いつも想像の斜め上を行く。今度は、現役を続行しながら「他国の代表監督」になるというビッグサプライズ!
誰もが驚いたこの発表を、カンボジアの関係者はどう受け止めたのか?
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ロシアW杯後、その去就が注目されていた本田圭佑(32歳)。なんと、オーストラリアの強豪メルボルン・ビクトリーFCと選手として契約しつつ、サッカー・カンボジア代表の指揮官に就任するという衝撃的なニュースが飛び込んできた。
監督ライセンスを保有していないため、カンボジアでは"Head of Delegation(代表トップ)"という肩書だが、実質的には代表監督兼GMの役割を担うという。2年契約で「報酬なし」という点も含め、すべてが異例中の異例だ。
カンボジア側との交渉は、水面下で極秘裏に行なわれていた。同国のプロリーグでプレーする選手や、長年にわたり審判を務める人物も、本田の就任は報道で初めて知ったと語っている。
本田は記者会見で、就任までの経緯をこう話した。
「カンボジアサッカー連盟に『現役を続けながら代表監督をやることは可能か』と質問したところ、『本気ならオファーをする』と言っていただき、この場に至りました。世界どこを見ても初めての契約だと思います。そういった普通ではないやり方を受け入れていただいたことに感謝しています」
カンボジア代表は現在、FIFAランキング166位。過去にW杯出場経験はなく、ロシアW杯予選も2次予選で8戦全敗に終わっている。
カンボジアの現地テレビ局「PNNテレビ」のスポーツ記者ニン・マカラ氏はこう評価する。
「私たちの国も含め、FIFAランキング100位台後半の国はチームの強化がほとんどなされていない。日本から何人もの指導者を派遣してもらっていることからわかるように、国内にいい指導者もいない。
そこで、世界の舞台で活躍している現役選手が直接指導するということ自体、レベルに合わないほど素晴らしい環境なんです。世界と戦うのはまだ厳しいかもしれませんが、まずはASEAN(東南アジア諸国連合)のなかで一番になれると信じています」
カンボジアではサッカー人気が高く、かつ日本という国にも好印象を持つ人が多い。
「2015年11月にロシアW杯アジア2次予選で日本と対戦した際には、試合後、多くのカンボジア代表選手が日本選手の元に駆け寄り、ユニフォームの交換を求めました。なかでも、当時ACミランの背番号10を背負っていたスーパースター、本田のユニフォームは皆が欲しがっていたようです」(ニン・マカラ記者)
実は、本田とカンボジアの間にはその頃から続く深い縁がある。このW杯予選で同国を訪れたことがきっかけで、本田は現地にサッカースクールを開いて選手育成に取り組んだり、カンボジア1部リーグのクラブ経営に携わったりするなど、精力的に同国内で活動してきたのだ。
本田のこうした活動は、代表監督の話が出る以前から同国ではたびたび報道され、まるでアイドルのような人気だという。それだけに、代表監督就任というニュースへの反響もすさまじい。
「フェイスブックのタイムラインは本田の話題でもちきり。サッカー連盟は本田の写真をすぐにタイムラインに投稿し、公式アカウントのトップ画像も本田に差し替えました」(ニン・マカラ記者)
★『週刊プレイボーイ』36号(8月20日発売)「現地のサッカー協会関係者、記者、ファン......に緊急直撃!! カンボジアの皆さん、『本田代表監督』ってアリなの!?」より