青木の助言を聞き、打点重視を貫くバレンティン。2位に30点近い差をつけており打点王はほぼ確実

早くも30本塁打、100打点をクリアし、好調ヤクルト打線の主軸として活躍するバレンティン。さらに今年は欠場が1試合しかなく、「能力はすごいがサボり癖が抜けない」という従来のイメージも覆しつつある。いったい何があったのか?

スポーツ紙デスクが言う。

「今年の彼の好調は、ヤクルトの"新加入"の3人が支えているんですよ」

昨季オフ、「優勝争いできるチームでプレーしたい」と漏らし、巨人など他球団への移籍が噂されたバレンティン。結局は水面下での交渉に失敗して残留となったが、ヤクルトにとっては「ムラッ気もひどいし、チームへの悪影響を考慮すれば流出もやむなし」という微妙な存在だった。

「そんなとき、広島からの加入が決まった石井琢朗(たくろう)打撃コーチが『彼は十分な戦力。自分が責任を持って"締める"から、ぜひ残してください』と小川淳司監督にアピールしたんです」(前出・デスク)

石井コーチは主に技術面でバレンティンを入念にケア。おかげで今季は極端なスランプがなく、夏場にきてむしろギアを上げている。

「それでも交流戦終了後などは、練習に身が入らなかったり、軽く済ませようと手を抜くような悪癖が出始めた。そんなときに尻を叩くのが、今季チームに復帰した宮本慎也ヘッドコーチです」(デスク)

テレビ局関係者も、その"鬼軍曹"ぶりを証言する。

「『なんのためにヤクルトに残ったんだ。優勝争いしたいなら率先してやれ。でなきゃ、美女木(びじょぎ/2軍)で球拾いでもしてろ!』など、通訳を介してではありますが、折に触れて口酸っぱく説教している。バレンティンも内心ではうっとうしく思っているようですが(笑)、彼ももう在籍8年目で、ヤクルトにおける宮本ヘッドの存在の大きさは十分にわかっているだけに、しぶしぶでも従うんですよ」

ただし、ムチばかりでは1年もたない。ヘコんだときのなだめ役は、メジャーから復帰したチームリーダーの青木宣親(のりちか)なのだという。

「バレンティンは米球界時代、メジャーに定着できなかっただけに、その厳しいメジャーで生き抜いた青木をとてもリスペクトしているんです。ヤクルト復帰が決まったときは相当喜んでいましたから」(テレビ局関係者)

今や、練習中に弟(バレンティン)が兄貴(青木)にじゃれつくような光景はすっかりおなじみなんだとか。

「バレンティンは本塁打を意識しすぎるとスイングが荒れて不振に陥る。しかし今季は青木が『打点を意識して稼げ。それがチームにも自分自身にもプラスになる』と助言していて、バレンティンもそれをよく聞いているようです」(テレビ局関係者)

まさか球団もそこまで狙っていたわけではないだろうが、"新加入トライアングル"がバレンティンを完璧に操縦しているヤクルト。彼が元気ならCS進出、そしてその先も十分に狙えるはずだ。