神戸の課題を挙げるなら、日本人選手の底上げと語るセルジオ越後氏

W杯中断期間明けから1ヵ月、Jリーグの話題は神戸に加入したイニエスタ一色だ。

そのイニエスタはさっそく実力を発揮している。まだまだ周囲との連携はいまいちだし、相手DFが遠慮して厳しい守備をしない場面も見受けられるけど、個人技から2試合連続でゴールを決めるなど、さすがだなというプレーを随所に見せてくれている。

チームも上り調子。じわじわと順位を上げている。アジア枠、提携国枠など含め外国人枠をフル活用したチームづくりは面白いし、アジアチャンピオンズリーグの出場権をなんとしても獲得するんだという、三木谷オーナーの意気込みを感じる。

その神戸の今後の課題を挙げるなら、日本人選手の底上げだね。イニエスタと一緒に練習して、試合をして、多くのことを吸収してレベルアップし、新たな日本代表選手が出てくること。それができて初めて、本当の意味での"イニエスタ効果"といえる。ジーコやドゥンガなど、かつてJリーグに所属していた大物外国人はそのくらい大きな影響力を発揮していたから。

そういう意味では僕も含めたメディアも、なんでもかんでもイニエスタを持ち上げないように気をつけないといけない。

ニュースにしやすいからと、どうしてもイニエスタのプレーばかり取り上げがちだけど、彼ひとりに頼り切りの状態は、長い目で見ればJリーグのためにならない。Jリーグにはほかにもいいプレーをしている、結果を出している選手、チームがある。その都度、しっかりと取り上げていかないとJリーグの活性化にはつながらないし、「日本人選手もイニエスタに負けていないぞ」という煽りがあってもいいんじゃないかな。

例えば昨季王者の川崎は、今季も見ていて楽しい攻撃的なサッカーを継続している。まったくブレていない。首位広島との差をどんどん縮めているし、連覇も十分狙えるだろう。選手個人を見ても、主将でエースの小林は相変わらず決定力が高く、中断期間明け以降、ゴールを量産してチームを牽引(けんいん)する活躍を見せている。

また、今季は札幌も面白いね。今のJリーグには引いて守ることを重視するチームが多いなか、イケイケの攻撃サッカーをする異色の存在。前線にはジェイ、都倉、駒井、チャナティップと個性の強い選手が並び、点を取られても取り返す"殴り合い"の試合を次々にモノにして上位につけている。今季の札幌サポーターは試合を見るのが楽しいだろうし、応援のしがいがあると思う。

こうした魅力的なサッカーをやっているチーム、勢いのあるチームはもっと露出が増えてしかるべきだ。

反対に、現時点で多くを語るべきではないのが、FC東京から横浜FMに移籍した久保のこと。このコラムでも取り上げる必要はないと思っているけど、それでも編集部のリクエストに応えるならば、「出場機会を求めての移籍なら、確実に試合に出られるJ2やJ3のチームへ移籍したほうがよかったのではないか」というくらい。

彼はまだ17歳。元バルセロナというストーリーがあって、メディアにとっては取り上げやすい存在だけど、Jリーグではほとんど実績がない選手。過度の注目はよけいなプレッシャーになる。今はそっとしておけばいいんじゃないかな。

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